1. まぐろの あかちゃんは、さいしょに なにを たべるの?
1. 3ミリで生まれたマグロは、まずプランクトンを食べる
1. 全長3mmの仔魚は、ふ化3日目からプランクトンを食べる
まぐろの あかちゃんは、たまごから かえった ときに 3ミリくらいです[1]。かえって 3日たつと、ごはんを たべはじめます[1]。
さいしょの ごはんは、うみに ういている ちいさな いきもの、プランクトンです。カイアシるいや、ミジンコの なかまなどを たべます[2]。ひるに たべて、よるは やすむと いわれます[2]。
7〜8ミリに なると、さかなの あかちゃんを たべはじめ、からだが きゅうに おおきく なります[2]。7〜8ミリは めやすで、うみや しらべた ひとで すこし ちがいます。
つまり こたえの ようてんは、「プランクトンから、さかなへ」です。でも、うみに おおい プランクトンを、あかちゃんは ぜんぶ たべて いるのでしょうか。
クロマグロの赤ちゃん(仔魚)は、ふ化したときの全長が約3ミリで、ふ化後3日目からプランクトンを食べはじめます[1]。定規の目盛り3つぶんの体で、ごはんを探しはじめるわけです。
水産研究・教育機構の資料によると、仔魚期に食べるのは、カイアシ類(卵やノープリウス幼生を含む)、尾虫類、枝角類(ミジンコの仲間)などのプランクトンです。主に昼に食べ、夜は休むといいます[2]。
そして全長7〜8ミリほどになると、魚の仔魚を食べはじめ、体が急に大きくなるとされます[2]。この7〜8ミリは目安で、水域や研究によって幅があります。題名の問いの答えの要点は、ここまでです。「プランクトンから魚へ、そのあとは海に多いもの」が大きな流れで、以降の章でその中身を見ていきます。
ただ、海にはカイアシ類がたくさんいます。それを、赤ちゃんは片っぱしから食べているのでしょうか。
クロマグロの食べ物の変化は、ふ化直後から始まっている。東京都島しょ農林水産総合センターの解説では、ふ化仔魚は全長約3mmで、ふ化後3日目から餌のプランクトンを食べはじめる[1]。水産研究・教育機構の資源評価は、仔魚期の食べ物をカイアシ類(卵・ノープリウス幼生を含む)、尾虫類、枝角類などとし、昼に摂餌して夜は休むと記す[2]。
転機は全長7〜8mm程度である。この大きさで魚類の仔魚を捕食しはじめ、それに伴って魚体は急激に成長するとされる[2]。つまり、題名の問いに対する大枠の答えは「プランクトンから魚へ。その後は、海に多いものを食べる」になる。ただし7〜8mmは目安であり、水域や研究によって幅がある。
では、仔魚は海に多いプランクトンを、多い順に食べているのか。次章でこれを、胃の中身を数えた研究で確かめる。
2. うみに おおい ごはんを、あかちゃんは たべるの?
2. 海に多いカイアシ類を、赤ちゃんはほとんど食べていなかった
2. 149個体の胃の内容 ── 数が多い獲物ほど食べられるわけではない
にほんかいの なつに とれた まぐろの あかちゃん、149ひきの おなかを、けんびきょうで しらべた けんきゅうが あります[3]。
おなかに はいって いた えさは、1ぴきに つき、へいきんで 0.89こでした[3]。1こに ならない ことも おおいのです。いちばん おおかったのは、ミジンコの なかまでした。
うみに たくさん いる カイアシるいは、ほとんど たべられて いませんでした[3]。うごきが はやくて にげやすいからでは ないかと、けんきゅうした ひとたちは かんがえて います。
これは にほんかいの なつの はなしです。ほかの うみでも おなじとは かぎりません。それでも、「おおい ものを たべる」だけでは ない ことが わかります。
日本海の夏に採れたクロマグロの仔魚149個体の胃を顕微鏡で調べた研究があります。胃に入っていた獲物は、1匹あたり平均0.89個体と少なく、顕微鏡で確認できた餌では枝角類(ミジンコの仲間)が最も多かったと報告されています[3]。
意外なのは、海に多いカイアシ類がほとんど食べられていなかったことです[3]。研究者は、カイアシ類は動きが速く逃げる力が強いためではないかと考えています。ただし、これは推測で、理由まで確かめられたわけではありません。
この研究は、夏の日本海という一つの条件の結果です。それでも、仔魚が「海に多いものを順に食べる」わけではなく、つかまえやすいものを食べている可能性を示しています。
こうして食べ物を選んで育った赤ちゃんは、数センチになると、すぐ近くにいる別の獲物に気づきます。
仔魚が何を食べているかは、胃の内容物を顕微鏡で調べるしかない。Kodamaらは日本海で夏に採れた仔魚149個体を調べ、胃の内容物は1個体あたり平均0.89個体と少なく、枝角類やオタマボヤ類(尾虫類)が環境中の存在量より多く、カイアシ類はまれにしか食べられていなかったと報告した[3]。
ここで大事なのは、「少なかった」ではなく「海に多いのに少なかった」点である。数が多いから食べられる、というなら、カイアシ類が上位に来るはずだ。そうならなかったことから、仔魚には獲物の選び方がある可能性が出てくる。著者らはカイアシ類が逃避する力の強さを理由として考えているが、これは推測にとどまる。
限界もある。調べたのは日本海の夏の仔魚で、太平洋側や別の季節に同じことが言えるかは分からない。胃の内容物は、採れた瞬間の食事の記録でもある。それでも、「環境に多いもの」と「実際に食べているもの」は別だという点は、あとの章の幼魚・成魚の話でも手がかりになる。
3. すうセンチに なると、まぐろは なかまも たべるの?
3. 数センチで始まる共食いと、育てる人の苦労
3. 共食いは仔稚魚期から始まる ── 完全養殖の壁になる理由
まぐろは、あかちゃんの ころから、さかなを たべる ちからが つよい さかなです。からだが すうセンチに なると、ともぐいを よく すると いわれます[4]。
さきに うまれた こが、あとに うまれた あかちゃんや たまごを たべる ことも あります[4]。
このため、まぐろを そだてる ひとたちには むずかしい ところが あります。きんきだいがくは 2002ねんに、たまごから そだてた まぐろから また たまごを とる「かんぜんようしょく」を たっせいしました[5]。それでも、ともぐいなどで、たくさんを あんていして そだてる ことは むずかしいと、けんきゅうの ほうこくに あります[5]。
むずかしいから こそ、まぐろの たべものを ちゃんと しる ことが、だいじなのです。では、おおきく なった まぐろは、なにを たべて いるのでしょう。
クロマグロは、仔魚の時期から魚を食べる性質が強く、体長数センチになるとよく共食いをすると、東京都の解説にあります。先に生まれた稚魚が、あとに生まれた仔魚や卵を食べることもあるといいます[4]。
この性質は、育てる人にとって大きな課題です。近畿大学は2002年に、卵から育てたマグロからまた卵をとる完全養殖を達成しました。ところが、初期の死亡、屈曲期以降の共食い、稚魚期以降の衝突死などで、大量に安定して生産するには至っていないと、2010年ごろの報告にあります[5]。ふ化後10日までに90%以上が死ぬこともあるとされます。
この報告は2010年ごろのもので、現在の状況とは限りません。育つまでの道のりがそれだけ険しいからこそ、育った後の食べ物がどう変わるのかが気になります。
クロマグロの魚食性は仔稚魚期から強く、体長数cmでよく共食いをする。先に生まれた稚魚が、あとに生まれた仔魚や卵を食べることもある[4]。前章までの獲物の選び方に比べると、「近くにいる同じ種」がもう一つの獲物になるわけだ。
これが養殖では障害になる。近畿大学水産研究所の報告は、2002年の完全養殖達成のあとも、初期減耗、屈曲期以降の共喰い、稚魚期以降の衝突死などで大量安定生産には至っていないとする。卵ふ化後10日間までに90%以上が斃死することがあるとも記す[5]。ただし、この報告は2010年前後のもので、いまの養殖現場の数字とは限らない。
注意したいのは、共食いが「何%を占めるか」を示す数字は、ここで使った資料にないことだ。90%以上の死亡も、共食いだけが原因ではなく、初期減耗など複数の要因を合わせた値である。したがって、「共食いが半分を占める」のような言い方はできない。
では、この時期を越えて大きくなった個体は、何を食べるのか。次章で、幼魚と成魚の食べ物を海域ごとに見る。
4. おおきく なった まぐろは、なにを たべるの?
4. 育つと、その海に多いものを機会に応じて食べる
4. 海域で入れかわる幼魚の獲物と、成魚の機会的な摂餌
まぐろは、1ねんで 50センチ、3ねんで 1メートル、10ねんで 2メートルを こえるまでに そだちます[4]。3ミリの あかちゃんが、1ねんで 50センチ。およそ 170ばいです。しりょうに よって すうじは すこし ちがいます。
60センチくらいまでの こども は、うみに よって ごはんが ちがいます。にほんかいでは ホタルイカモドキから キュウリエソへ、たいへいようでは エビや カニの あかちゃんから イワシの なかまへ かわります[2]。
おおきい まぐろは、ある さかなだけを えらんで たべるのでは なく、その うみに おおい ものを、あえば たべると されます[2]。おなかからは、イカの ほか、トビウオや カツオなどが でて くる ことが おおいそうです[2]。
すきな たべものが きまって いる のでは なく、「ここに いる ものを たべる」。それなら、うみが かわると、おなかの なかみも かわるのでしょうか。
クロマグロはマグロ類で最も大型で、全長3メートル、体重400キログラムを超えることもあります。生後1年で約50センチ(約2.5キログラム)、3年で約1メートル(約25キログラム)、10年で2メートル超(約165キログラム)になるとされます[4]。全長3ミリで生まれて1年で50センチなら、約170倍です。ただし、成長の数字は資料によって少し違います。
体長約60センチまでの当歳魚の食べ物は、海域と成長で変わります。日本海ではホタルイカモドキからキュウリエソへ、太平洋では甲殻類の幼生からイワシ類へと切りかわります。切りかわる時期は、海洋環境の影響を受けるとされます[2]。
大型の魚は、特定の魚種を選んで食べるのではなく、その海域に多い生物を機会に応じて食べているとされます。胃からはイカ類のほか、トビウオ類、キントキダイ類、カツオなどが多く見られます[2]。ほかの資料では、イワシなどの小魚、イカ、遊泳性のエビ類を食べるともあります[1]。
「好き嫌いがない」のではなく、「そこに多いものを食べる」という傾向です。それなら、同じ海でも、年によって獲物の顔ぶれが変われば、クロマグロの胃の中身も変わるはずです。
成長の速さは、食べ物の変化を考える目安になる。水産振興会の資料では、クロマグロは生後1年で約50cm(約2.5kg)、3年で約1m(約25kg)、10年で2m超(約165kg)になる[4]。全長3mmの仔魚から数えると、1年で約170倍の長さになる計算だ。ただし、この数字は資料により異なり、1歳を約66cmとする資料もある。
当歳魚(体長約60cmまで)の食べ物は、海域と成長で切りかわる。水産研究・教育機構の資源評価によれば、日本海ではホタルイカモドキからキュウリエソへ、太平洋では甲殻類の幼生からイワシ類へ移る。切りかわる時期は、海洋環境の影響を受けるとされる[2]。同じクロマグロでも、日本海と太平洋では、育つ過程で食べているものが違う。
大型魚についての整理は、さらに重要だ。同じ資料群は、特定の魚種を選択的に捕食しているのではなく、その海域に多い生物を機会に応じて捕食しているとする。胃からはイカ類のほか、トビウオ類、キントキダイ類、カツオなどが多く見られる[2]。東京都の解説も、イワシなどの小魚、イカ類、遊泳性のエビ類を挙げる[1]。
ここで第2章との違いに気づく。仔魚は、環境に多いカイアシ類をあまり食べず、枝角類などを多く食べていた[3]。成魚は「海に多いものを食べる」とされる。ただし、成魚の整理は「特定の種を選ばない」という意味であり、仔魚期の選択と単純には比べられない。
では、「海に多いもの」が年ごとに変われば、胃の中身は実際にどう変わるのか。次章で、カリフォルニア沖の長期調査を見る。
5. たべものが ちがっても、おなかの エネルギーは おなじなの?
5. 調査期間ごとに胃の中身は大きく変わるのに、エネルギー量はほぼ同じだった
5. カリフォルニア沖963匹の胃 ── 獲物は変わっても、胃1つあたりのエネルギーはほぼ同じ
アメリカの カリフォルニアの おきで、2008ねんから 2016ねんの あいだに とれた、まぐろの こども 963びきの おなかを しらべた けんきゅうが あります[6]。
おなかの なかみは、しらべた きかんに よって おおきく ちがいました。2008ねんは、ハダカイワシと ホタルイカの なかま。2009〜2014ねんは、ちいさな いきものを いろいろ。2015〜2016ねんは、うみに ういている あかい カニと、カタクチイワシでした[6]。
ところが、おなか ひとつぶんの エネルギーの りょうは、2009〜2014ねんと 2015〜2016ねんを くらべて、ほとんど おなじでした[6]。ちいさな ものを たくさん たべた ときも、おおきな ものを すこし たべた ときも、おなかの なかみの エネルギーは にて いたのです。
たとえば、ちいさな おかしを たくさん たべても、おおきな おかしを ひとつ たべても、おなかに はいる エネルギーが おなじ くらい、という ことです。ただし ほんとうは、「おなかの なかみ」の はなしで、1にちに たべる りょうでは ありません。
アメリカのカリフォルニア沖で、2008〜2016年に採れた幼魚963匹の胃を調べた研究があります。胃の中の主な獲物は、調査期間(2008年、2009〜14年、2015〜16年)によって大きく変わりました。2008年はハダカイワシ類とホタルイカの仲間、2009〜14年は端脚類など多様な小さな生き物、2015〜16年は浮遊性のアカガニ(餌の個数の約4分の3)とカタクチイワシでした[6]。
著者らは、クロマグロを、状況に応じてさまざまな獲物を利用できる「機会的な捕食者」と述べています[6]。前の章の「海に多いものを機会に応じて食べる」が、年ごとの胃の中身の変化として見えたわけです。
さらに面白いのは、胃1つあたりのエネルギー量が、2009〜14年と2015〜16年を比べて(2008年と2015〜16年の比較も)ほぼ同じだったことです。2009〜14年は小さな獲物をたくさん、2015〜16年は数が少なく、エネルギーの高い獲物を食べていました[6]。獲物の顔ぶれは違っても、胃に入る「エネルギーの総量」は似ていたということです。
ここで言えるのは、胃の中身のエネルギーの話です。1日に食べる量や、体の成長への影響まで分かったわけではありません。
年ごとの変化を調べた研究として、Portnerらによるカリフォルニア沖の調査がある。2008〜2016年に採集した幼魚963匹の胃を調べたところ、主な獲物は3つの調査期間(2008年、2009〜14年、2015〜16年)で異なった。2008年はハダカイワシ類とホタルイカの仲間、2009〜14年は端脚類を含む多様な小型の生き物、2015〜16年は浮遊性のアカガニ(餌の個数の約75%)とカタクチイワシだった[6]。
数字の読み方に注意が要る。963匹のうち餌が入っていたのは721匹(約75%)で、アカガニの約75%は「餌の個数」の割合である。同じ75%でも、母数が違う。両者を取りちがえると、「幼魚の4分の3がカニを食べた」のように誤って読んでしまう。
著者らは、この種を、さまざまな獲物を利用できる機会的な捕食者と結論する。それを支えたのが、胃1つあたりの総エネルギー量が、2008年と2015〜16年、2009〜14年と2015〜16年のそれぞれの比較で有意差のないほぼ同じ値だった結果である。2009〜14年は小さな獲物を多数、2015〜16年は数が少なくエネルギーの高い獲物を食べていた[6]。
この結果からは、獲物が変わっても、胃の中身の総エネルギー量には、比べた期間のあいだで有意な差がなかったと読める。ただし、その理由(例えば、獲物の種類に合わせて食べ方を変えているのか)までは、示されていない。また、これはカリフォルニア沖の幼魚の結果であり、日本近海の同じ年代にそのまま当てはまるとは書けない。
これまで見たのは、海で自然に食べている食べ物だった。では、人が育てるマグロは何を食べているのだろうか。
6. そだてて いる まぐろは、なにを たべて いるの?
6. 養殖マグロは、サバなどの生き餌から配合飼料へ
6. 養殖の餌の転換 ── 配合飼料のみで育てた近大マグロ
まぐろを そだてる ところでは、これまで サバなどの さかなを あたえて きました[7]。
きんきだいがくは、2019ねんの 8がつから、いろいろな ざいりょうを まぜて つくった えさ(はいごうしりょう)だけで そだてた まぐろの しゅっかを はじめました[7]。
2015ねんから、げんばで くらべて みると、はいごうしりょうと さかなの えさで、そだちかたに さは なかったと されます[7]。さかなの こなを つかう りょうを へらす けんきゅうも すすめて います。
うみの なかで なにを たべるかを しれば、そだてる ときの えさも かんがえられます。
養殖のマグロの餌は、これまでサバなどの生餌が主でした。近畿大学水産研究所は、2019年8月から、配合飼料のみで育てた近大マグロの出荷を始めると発表しました[7]。
近畿大学の発表によると、2015年から現場で比べたところ、配合飼料と生餌で成長に差はなかったとされます。配合飼料は魚粉に頼る部分が大きいため、魚粉への依存を減らす研究も進めているとされます[7]。
この記事で見てきた「その海に多いものを食べる」という自然のマグロの姿は、生餌から配合飼料へ切りかえる研究にも、手がかりになります。ただし、養殖の餌と自然の食べ物は別の話で、配合飼料の中身や餌の効率の数字は、ここで使った資料にありません。
人が育てるマグロの餌も、ここ数年で変わりつつある。近畿大学水産研究所の発表によれば、2019年8月から配合飼料のみで養成した近大マグロの出荷を始めた。それまでの養殖マグロの餌は、サバなどの生餌が主だった。2015年から現場で比較した近畿大学の試験では、配合飼料と生餌で成長に差はなかったとされる[7]。
魚粉への依存を減らす研究も進められている。魚粉はその名のとおり魚を原料にするため、魚粉に頼らない餌づくりは、餌の材料をどこから得るかという課題に関わる。ただし、この発表には、体重を1kg増やすのに必要な餌の量(餌料効率)の数字は書かれていない。「成長に差がない」と「餌の効率が同じ」は別の話である。
自然のマグロが「海に多いものを機会に応じて食べる」[2]ことと、養殖が「決まった配合の餌で育てる」ことは対照的に見える。両者の関係を直接比べた資料はここでは使っておらず、本記事では並べて示すにとどめる。
7. 3ミリと 2.5キロを、じぶんで たしかめて みよう
7. 定規と台所の袋で、1歳のマグロの大きさを確かめる
7. 数字を手で確かめる ── 3mmと50cm、2.5kgを並べて資料を読みなおす
じょうぎで 3ミリを はかって、えんぴつで ちいさな せんを ひいて みましょう。うまれたての まぐろの ながさです[1]。
つぎに、30センチの じょうぎを おとなの ひとと いっしょに ふたつ ならべて、50センチを つくって みましょう。1さいの まぐろの おおきさです[4]。うまれた ときの 170ばいです。
おもさは、おこめの 2キロの ふくろを もって みます。1さいの まぐろは 2.5キロくらい。ふくろに ペットボトル(500ミリリットル)を ひとつ くわえた おもさです[4]。
おみせで まぐろの パックを みたら、「この まぐろは、3ミリから はじまって、なにを たべて きたのかな」と そうぞうして みましょう。
まず、定規で3ミリを測ってみましょう。ふ化したばかりのクロマグロの長さです[1]。次に、50センチを巻き尺や、30センチの定規2つで作ってみます。生後1年のクロマグロの大きさの目安です[4]。
重さは、2キログラムの米袋に500ミリリットルのペットボトルを1本足すと約2.5キログラムです。同じく1歳の目安になります[4]。10年たつと約165キログラムとされるので、米袋だと80袋ほどです。数字だけでなく、手で持った重さと並べると、育つ速さが実感できます。
スーパーや回転寿司でマグロを見かけたら、「この魚は何を食べて育ったのかな」と考えてみましょう。天然か養殖かの表示があれば、メモしておくのも面白いでしょう。もっと知りたい人は、水産研究・教育機構の資源評価[2]や、近畿大学の発表[7]が日本語で読めます。
数字を実感に変えるには、手で確かめるのがよい。ふ化仔魚の全長約3mm[1]を定規で測り、生後1年の約50cm[4]と並べる。長さは約170倍になる。重さは、2kgの米袋に500mLのペットボトルを足せば約2.5kgで、これが1歳の目安である。10年で約165kgとされるので、1歳の約66倍の重さになる。ただし、資料により数字は異なり、すべての個体が同じように育つわけではない。
資料の読みくらべも手がかりになる。水産研究・教育機構の資源評価[2]は成長段階と海域による食べ物の変化を、Kodamaらの研究[3]は仔魚の獲物の選び方を、Portnerらの研究[6]は年ごとの胃の中身の変化とエネルギー量を示す。この3つは「何で変わるか」の軸が違うので、並べて読むと全体の見取り図ができる。Kodamaらの論文は、要旨が英語で読める。
胃の中身を数える研究は、1つ1つの胃を開けて、中身を種類ごとに数え、エネルギーに換算するという手間のかかる作業の積み重ねである。数字の背後にそういう手作業があることを知っておくと、「平均0.89個体」のような数字の重みが違って見えてくる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:公的機関の資料と論文を主に使い、近畿大学の発表は養殖の餌の説明に使った。何に使ったかは、それぞれの項目に書いている。
- 東京都島しょ農林水産総合センター「クロマグロ」。https://www.ifarc.metro.tokyo.lg.jp/archive/27,1103,55,227.html (ふ化仔魚の大きさ、最初の食べ物、成魚の食べ物の例)
- 水産研究・教育機構「国際漁業資源の現況」令和3年度 クロマグロ(太平洋)。https://kokushi.fra.go.jp/R03/R03_05_PBF.pdf (仔魚期の食べ物、当歳魚の海域による違い、成魚の機会的な摂餌)
- Kodama et al. 2017, Marine Ecology Progress Series 583:211-226。https://int-res.com/abstracts/meps/v583/p211-226 (日本海の仔魚149個体の胃の内容。要旨を参照)
- 水産振興会 museum「マグロ好き。」。https://museum.suisan-shinkou.or.jp/guide/maguro-like/ (共食いと成長の目安。成長の数字は資料により少し違う)
- 近畿大学水産研究所の報告(近畿大学リポジトリ所収)。https://kindai.repo.nii.ac.jp/record/14146/files/BB02079487-20100300-0307.pdf (養殖での初期の死亡と共食い。2010年ごろの報告)
- Portner, Snodgrass & Dewar 2022, PLoS ONE 17(8):e0272048。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9409590 (カリフォルニア沖の幼魚963匹の胃の内容と、胃1つあたりのエネルギー量)
- 近畿大学水産研究所の発表(デジタルPR)。https://digitalpr.jp/r/34069 (配合飼料のみで育てた近大マグロ。企業・大学の発表資料)
なおした ところ
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