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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

あめんぼは、なにを どうやって たべて いるの?

アメンボは何を食べる? 波で見つけて、かまずに汁を吸う

アメンボは、水の上でどうやって食べ物をとるのか ── 波を脚先で感じ、消化液で溶かして吸う

分野:生きもの

あめんぼは、えものを かみません。くちを ぶすっと さして、とかした しるを ストローのように すうのです。

みずに おちた むしは、どうやって 見つかるのでしょう。あしの さきと、なみの ひみつが わかります。

アメンボは、虫をかんで食べません。口を突き刺して消化液を流しこみ、とけた汁をストローのように吸います[3]。

では、水の上でじっとしているアメンボは、落ちた虫をどうやって見つけるのでしょうか。獲物を探す波、脚の先の感覚、食べ方、そして何でも食べる一面までが分かります。

アメンボは、獲物の体に口を差し込んで消化液を注入し、肉を液状にしてから吸う。かみ砕かずに、体の外で消化を始める食べ方である[2][3]。

では、水面に立つだけの昆虫は、獲物の位置をどう知るのか。波を手がかりにした探し方、北米種での脚の切断実験、食べ方の仕組み、ある種で報告された食性の幅が分かる。それぞれの根拠と限界も合わせて示す。

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1. あめんぼは、なにを たべるの?

1. アメンボのごちそうは、水に落ちた小さな虫

1. 食べ物は主に水面に落ちた昆虫 ── 肉食という性質

いけの みずの うえを、すーいと すべる あめんぼ。おもに たべるのは、みずに おちた ちいさな むしです[1]。

あめんぼは、にくを たべる なかまです。みずの おもてに おちて きた むしが、ごはんに なります[2]。

みずに おちた むしは、つよく くっついて うごきにくい ことが あると いわれます[1]。それを、あめんぼは ちかづいて つかまえます。でも、みずの うえに いる むしを、どうやって 見つけるのでしょう。

池の水面を、すいすいと進むアメンボ。アメンボは肉食で、主に水面に落ちた小さな虫などを食べます[1]。大阪府の水辺の昆虫図鑑も、食べ物は水面に落ちた昆虫などだと説明しています[2]。

水に落ちた虫は、すぐには逃げにくいようです。一般向けの解説では、ハエが水面に触れると表面張力で水がくっつき、動けなくなると説明されています[1]。アメンボにとっては、水面に「落とし物」が届くのを待つ暮らしだといえます。

ところで、水面に立つアメンボは、落ちた虫の場所をどうやって知るのでしょうか。

アメンボは肉食で、主に水面に落ちた昆虫などを食べる[1][2]。水面に落ちた虫を食べる暮らしだ。

水に落ちた虫が逃げにくい理由として、一般向けの解説は、ハエなどが水面に触れると表面張力で水がくっつき、動けなくなる、と説明する[1]。ただし、これは一般向けの表現であり、「完全に動けない」とまで読むのは強すぎる。飛び立ちにくい、程度に受け取るのが妥当である。

アメンボ自身が水に浮く理由は別の話で、この記事では扱わない。問いは、水面のどこに獲物がいるのかを、アメンボがどう知るのか、である。

2. おちた むしの ばしょは、どうして わかるの?

2. 獲物のもがく波が、居場所の手がかりになる

2. 位置の手がかりは水面の波 ── 向きを何回かに分けて合わせる

みずに おちた むしが ばたばたすると、みずの うえに ちいさな なみが ひろがります。あめんぼは、その なみを てがかりに ちかづくと いわれます[1]。

いけに ちいさな いしを ポチャンと おとすと、まるい なみが ひろがりますね。あれと にた ことが、むしの まわりでも おきて います。ただし、むしの なみは もっと ずっと ちいさい ものです。

アメリカの けんきゅうでは、あめんぼは なみが きた ほうへ、いっぺんに くるっと まわらず、なんかいかに わけて からだの むきを かえながら ちかづきました[5]。

むきを かえる おおきさは、なみの でどころが ずれて いる かくどが おおきい ほど、おおきい という かんけいが ありました[5]。では、あめんぼは からだの どこで なみを かんじるのでしょう。

水に落ちた虫がもがくと、水面に小さな波が広がります。アメンボは、この波を手がかりに獲物へ近づくとされます[1]。

アメリカの研究者マーフィーは、北米にすむアメンボの一種(Gerris remigis)を調べ、1971年に論文を発表しました。この研究では、波が来た方向へ向かうとき、アメンボは一度にくるりと向きを変えるのではなく、いくつかの回転に分けて少しずつ体の向きを合わせていました。それぞれの回転の大きさは、波の発生源が体の正面からずれている角度と相関していたと報告されています[5]。

人が音のする方向へ顔を向け直す様子に、少し似ています。ただし、アメンボが感じているのは音ではなく水面の波です。

この波を、アメンボは体のどこで受け取るのでしょうか。

獲物の位置の手がかりは、水面を伝わる波(さざ波)である。一般向けの解説は、アメンボが波を感じて獲物へ近寄ると述べる[1]。では、「感じて近寄る」とは具体的にどんな動きなのか。

Murphey(1971)は北米種 Gerris remigis を調べ、獲物の位置決めが「離散的な一連の回転」で行われると報告した。つまり、波の来る方向へ一気に向き直るのではなく、何回かに分けて向きを合わせる。1回ごとの回転角は、波の発生源が体軸からずれている角度と相関していた[5]。

これは、向きを修正しながら獲物に近づく動きと読める。ただし、この記述は論文の要旨にもとづく。回転の回数や、日本のアメンボの動きまでは、ここからは分からない。

波は水面全体に広がる。アメンボはそれを体のどの部分で受け取るのか。同じ研究が、その手がかりを与えている。

3. なみは、あしの どこで かんじるの?

3. 波を感じる場所は、脚の先にあった

3. 脚先の感覚器と振動 ── 切断実験が示したこと、敵にも伝わる限界

けんきゅうした ひとは、あめんぼの ある あしの さきの ほうを しらべました。かたがわの 3ぼんの あしを、さきの すこし てまえで きると、むきを うまく かえられません。でも、もっと さきで きっても、かわりは 見られませんでした[6]。

この ことから、あしの さきに、なみを かんじる ぶぶんが あるのでは、と かんがえられて います[6]。

ただし、これは アメリカの あめんぼの けんきゅうです。にほんの あめんぼ ぜんぶが、おなじとは かぎりません。

じつは、みずの ふるえは、てきにも つたわります。べつの けんきゅうでは、あめんぼが だす みずの ふるえに、みずの なかの ねらう むし(マツモムシの なかま)が ちかづく ようすが たしかめられました[7]。あめんぼは、ねらう がわでも ねらわれる がわでも あるのです。

同じ研究者は、どの部分が波の感知に大切なのかも調べました。脚を切るという実験で、片側の3本の脚を、脛節(すねにあたる部分)と跗節(足先にあたる部分)のつなぎ目の手前で切ると、正常な向き直りができなくなりました。ところが、もっと先で切っても、目立った影響は見られませんでした[6]。

この結果から、脚の先に水面の波を感じる感覚器があると考えられています[6]。この研究は北米の種を調べたもので、日本のアメンボすべてに当てはまるとは限りません。

水面の振動は、獲物だけでなく、天敵にも伝わります。別の研究では、交尾中のアメンボ(Gerris gracilicornis)が出す水面の振動に、水中の捕食者であるマツモムシの一種(Notonecta triguttata)が近づく実験が行われました[7]。アメンボは、狩る側であると同時に、狙われる側でもあります。

では、獲物にたどり着いたアメンボは、どうやって食べるのでしょうか。

波を受け取る部位を調べるために、Murphey は脚を切る実験を行った。片側の3本の脚を、脛節と跗節のつなぎ目(脛跗関節)の手前で切断すると、正常な向き直りが妨げられた。一方、それより先で切断しても、観察できる影響はなかった[6]。

この結果は、跗節にある感覚器が波の感知に重要であることを示唆する。ただし、研究は北米種に限られる。日本のアメンボ全種に当てはまるとは書けないし、実験が示したのは「脚先が重要」という方向までで、感覚器の働き方の詳細ではない。

水面の振動は、獲物の探知だけに使われるわけではない。Han と Jablonski(2010)は、交尾中の Gerris gracilicornis が出す信号に、水中の捕食者 Notonecta triguttata(マツモムシの一種)が近づく実験を報告した[7]。つまり、水面は、狩りの手がかりと危険の合図が混ざる場所だ。ここで言えるのは、アメンボが狙われる側でもある、という点までである。

獲物に近づいたあと、アメンボはその体をどう処理するのか。口の使い方に、この昆虫の最大の特徴がある。

4. あめんぼは、どうやって たべるの?

4. かまずに、とかした汁をストローで吸う

4. 体外消化 ── 消化液を注入して液状にし、吸汁する

あめんぼの くちは、ストローのように ほそく とがって います[4]。

えものを つかまえると、この くちを ぶすっと さします。そして くちから しょうかえきと いう えきを ながしこみます。すると、えものの にくが とけて、ジュースのように なります[3]。

とけた しるを、ストローで すうように のみます[2]。

ジュースを ストローで のむのと にて います。ただし、あめんぼは さきに ジュースを つくってから のむのです。ものを かむ かわりに、からだの そとで とかして しまう、と いうわけです。

獲物を捕まえたアメンボは、針のようなストロー状の口を突き刺します[4]。そして消化液を流しこむと、獲物の肉が溶けてジュース状になります[3]。アメンボはその液体を吸って食べます[2]。

消化液は、本来は食べ物を体の中で分解するための液です。アメンボはそれを獲物の中に注ぎ、体の外で消化を進めてから吸います。これを体外消化といいます[1]。かむための道具が要らないぶん、ストロー状の口だけで食事ができるわけです。

ジュースをストローで飲むのと似ていますが、アメンボの場合は、先に「ジュースを作る」作業が入ります。

では、アメンボは何でも食べるのでしょうか。

アメンボは獲物に口(口吻)を突き刺し、消化液を注入して肉を溶かし、液状になったものを吸う[2][3]。口は針のようなストロー状と表現される[4]。獲物の体の外で消化を始めるので、体外消化と呼ばれる[1]。

この方式の利点を、資料は直接には述べていない。ただ、かみ砕く口の部品を持たずに、液状にしたものだけを吸うので、細い口で食事が完結することは、資料の説明から読み取れる。

消化液を注入する、という表現は図鑑や自治体資料に共通している。だが、消化液の成分や、獲物の体がどれくらいの時間で液状になるかは、ここで使った資料には出てこない。数字や時間は書かないでおく。

この食べ方は、大きさの違う獲物にも使えるのか。ある種の記録が、その幅を示している。

5. あめんぼは、なんでも たべるの?

5. 大きな虫にはみんなで集まり、浮いた死骸も食べる種がいる

5. 食性の幅 ── 北米のアメンボ属で報告された集団での摂食と死骸の利用

アメリカに すむ あめんぼの なかまでは、みずに おちた いろいろな むしを おそう ことが しられて います。うかびあがって きた かの なかまも、おぼれた がも ねらいます[8]。

おおきな むしには、なんびきもの あめんぼが あつまって、みんなで くちを さして しるを すいます[8]。

ちいさな しがいが うかんで いれば、それも たべる ことが あります。かう ときに うく にくを あげる、と しょうかいする きじも あります[8]。

ただし、これは アメリカの ある しゅの はなしです。にほんの あめんぼが ぜんぶ おなじとは いえません。

北米のアメンボ属の一種(Aquarius remigis)では、水面で出会った虫を、羽化したばかりの蚊でも、溺れた蛾でも襲うと紹介されています[8]。選り好みせず、水面に届いたものを食べる狩人に見えます。

大きな虫には、何匹ものアメンボが集まり、それぞれが口を差し込んで体液を吸うそうです[8]。小さな浮いている死骸も食べ、飼うときも浮く肉を与えられる、と紹介記事には書かれています[8]。

ただし、これは北米のある種の記述で、日本のアメンボにそのまま当てはめることはできません。日本の図鑑や自治体の資料は、食べ物を、水面に落ちた昆虫などと説明しています[2]。

この種では、食べ物の種類がかなり広いことが分かります。では、この狩りを自分の目で見るには、どうすればよいでしょうか。

北米のアメンボ属 Aquarius remigis について、紹介記事は次の食性を述べる。水面で出会った虫(羽化する蚊も、溺れる蛾も)を襲う。大きな虫には何匹もが集まり、それぞれが口吻を差し込んで体液を吸う。小さな浮いている死骸も食べ、飼うときは浮く肉を与えられる、と紹介されている[8]。

この記述から読み取れるのは、獲物の種類をあまり選ばず、生きているものだけでなく浮いた死骸も食べうる、という柔軟さである。集団で1匹の大きな獲物を食べる点も、1匹ずつ狩るという印象とは異なる。

ただし、出典は専門の論文ではなく、博物館的な紹介記事で、北米の1種についての記述である。日本のアメンボに同じことが言えるかどうかは、この資料からは判断できない。日本の自治体や図鑑の説明は、食べ物を水面に落ちた昆虫などとするにとどまる[2]。

ここまでの流れをつなぐと、水に落ちた虫が起こす波を脚先で感じ取り、近づいて口を刺し、体の外で溶かした汁を吸う、という狩りの一続きが見えてくる。ただし、各段階の根拠は別々の資料から来ており、1種類の観察記録として確かめられた一連の動きではない。

いけで みて みよう

水辺で、アメンボが向きを変える動きを見てみる

池や小川で、アメンボの向きの変え方を観察するには

みずべで

いけや がわの ちかくで、あめんぼを さがします。みずの なかには はいらず、みずの ふちから すこし はなれて 見ます。おとなの ひとと いっしょに いきましょう。

あめんぼが すすむ ほうこうを かえる ところを、見て みます。いっぺんに くるっと むきを かえるでしょうか。

むしを つかまえたり、えさを あげたり しません。見るだけです。

しらべる ときは

ずかんや、ちほうの はくぶつかんの ホームページに、あめんぼの しょうかいが のって いる ことが あります。

水辺でできること

池や小川のふちから、少し離れてアメンボを探します。水には入らず、大人と一緒に行きましょう。

アメンボが泳いで進路を変えるとき、一度にくるりと向きを変えるのか、何回かに分けるのかを見てみます。北米の研究は獲物の波への向き直りを調べたものなので、同じ動きとは言えませんが、体の向きの変え方を見る入り口になります。

虫を捕まえて落としたり、えさを与えたりはしません。観察だけにします。

調べるには

地域の水辺の昆虫図鑑や、自治体の生物多様性のページに、アメンボの紹介があります。この記事の出典にある論文は英語ですが、要旨なら誰でも読めます。

池や小川での観察

水に入らず、岸から離れてアメンボを探す。大人と一緒に行く。アメンボが進路を変えるとき、向きを変える回数と進み方を見てみる。Murphey の報告は獲物の波への向き直りなので同じ動きとは言えないが、「何回かに分けて向きを合わせる」動きが日本の身近なアメンボでも見えるかは、自分の観察で調べる課題になる。

観察のために虫を落としたり、えさを与えたりはしない。見えたものだけを記録する。

資料を読むなら

Murphey(1971)の2本は、要旨から読み始められる。実験の対象が北米種であること、脚を切る実験の条件を見て、日本のアメンボにどこまで言えるかを自分で考えるとよい。水面の振動の役割は、Han と Jablonski(2010)が詳しい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

食べ物・食べ方は日本の自治体の図鑑や解説、波の感知は北米種の研究論文の要旨、食性の幅は北米の紹介記事による。

  1. ウェザーニュース「アメンボの不思議」 https://weathernews.jp/s/topics/202106/030205/ (完全な肉食・波を感じて近寄る・表面張力)
  2. 大阪府環境農林水産総合研究所「水辺の昆虫図鑑 アメンボ」 https://www.knsk-osaka.jp/ (食べ物と吸汁)
  3. 福岡県生物多様性「アメンボ」 https://biodiversity.pref.fukuoka.lg.jp/ (消化液で溶かしてジュース状にする食べ方)
  4. 神戸新聞NEXT「虫顔図鑑 水面の鍼灸師・オオアメンボ」 https://www.kobe-np.co.jp/ (針のようなストロー状の口)
  5. Murphey (1971), Zeitschrift für vergleichende Physiologie 72 https://doi.org/10.1007/BF00297819 (波の方向への向き直り。要旨をもとにしている)
  6. Murphey (1971), Sensory aspects ... Gerris remigis, Zeitschrift für vergleichende Physiologie 72 https://doi.org/10.1007/BF00297820 (脚の切断実験。要旨をもとにしている)
  7. Han & Jablonski (2010), Nature Communications https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2964456 (水面の振動と水中の捕食者)
  8. God of Insects「Common Water Striders (Aquarius remigis)」 https://www.godofinsects.com/ (北米の種の食性)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。
  •  中学生向けの題名を、日常の疑問が先に来る形に見直した。

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