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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

きつつきは、もりの ほかに どんな ところで くらして いるの?

キツツキは、森のほかにどんな場所で暮らしているのか:世界と日本の「すみか」を比べる

キツツキは森の鳥か:木のない土地にすむ種と、日本の種ごとにちがう森の条件

分野:生きもの

きつつきは、きを つつく とりです。だから、もりに すんで いると おもいますよね。ところが、きの ない ところに すむ なかまも います。

この メモでは、せかいと にほんの すみかを くらべて、きつつきが どんな ばしょで くらして いるのかが わかります。

キツツキの仲間には、木のほとんどない土地にすむ種がいます。木をつつく鳥のイメージとは、少しちがいます。それでも大部分は森にすんでいて、日本では種ごとに必要な森までちがうといわれます。

この記事では、世界での分布、木のない場所の暮らし、日本の種ごとのすみか、そして掘った穴の「貸し主」としての役目から、キツツキがどんな場所で暮らしているのかが分かります。

キツツキといえば森の鳥だが、百科事典には「樹木のない地方に生息する種さえある」と書かれている。一方で日本の種を調べると、クマゲラはつがい1組に数百ヘクタールのブナ林を必要とするとされ、コゲラは都市の緑地にも現れる。同じ仲間なのに、なぜこれほど暮らす場所がちがうのか。

この記事では、世界での分布と、日本の種ごとの生息条件、そしてキツツキが掘った穴がほかの動物の住みかになることから、キツツキの「すみか」が森の中でどう分かれているのかが分かる。

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1. きつつきは、せかいの どこに いるの?

1. 世界のほとんどにいるのに、いない場所がある

1. 世界の大部分に分布するが、いない地域もある

きつつきの なかまは、せかいじゅうに います。おおむね 200しゅるいより おおい、と いわれます。

でも、いない ところも あります。オーストラリアと マダガスカル、それに 南極なんきょくには いません。

すんで いる ばしょは、ほとんどが もりです。あつい くにの ふかい もりに、いちばん たくさんの しゅるいが います。

キツツキの仲間は、マダガスカル、ニューギニア、オーストラリア、太平洋の島々を除くほぼ全世界に分布します。種の数は資料によって約210種から約240種までと幅があります[1][2]。

南極にもいません。オーストラリアにいないことは百科事典と英語版Wikipediaで一致していますが、南極にいる種の記載はありません[2]。

大部分の種は森林に単独かつがいですんでいます[1]。種の多様性がいちばん高いのは熱帯雨林だといわれます[2]。ここまでは「キツツキは森の鳥」という印象のとおりです。では、森でない場所にはいないのでしょうか。

キツツキ類の分布は、マダガスカル、ニューギニア、オーストラリア、太平洋の島々を除くほぼ全世界とされる。種数は世界大百科事典などで約210種、ブリタニカで約230種、英語版Wikipediaで約240種と、資料によって種数に幅がある[1][2]。

いない場所のうち、オーストラリアとマダガスカルは両資料で一致し、南極は英語版Wikipediaに記載がある。南極に樹木がないことは確かだが、それが理由かどうかは資料に書かれていない[2]。

大部分の種は森林にすみ、熱帯雨林で種の多様性が最も高い[1][2]。では「キツツキは森の鳥」という見方は、そのまま正しいのか。次の章では、その例外を見る。

2. きの ない ところでも、くらせるの?

2. 木が少ない土地や、サボテンの砂漠にもすんでいる

2. 樹木の少ない地方に進出した種:草原・岩場・砂漠

じつは、きの ない ところに すむ きつつきも います。アフリカの みなみの ほうや、みなみアメリカの みなみの ほうに います。

さばくに すむ なかまも います。せの たかい サボテンに あなを ほって、すを つくる ものが いる、と いわれます。

みなみアフリカには、いわばや くさの おかに すむ きつつきも います。きに のぼる だけが きつつきでは ないのです。

百科事典には、樹木のない地方にすむ種さえあると書かれています。例としてあげられているのは、アフリカ南部と南アメリカ南部です。アリスイの仲間は、樹木が点々とある草地や疎林にすみます[1]。

砂漠に進出した種もいます。米国南西部の砂漠にすむギラ・ウッドペッカーなどは、背の高いサボテンに巣穴をつくるといわれます。南アフリカのグラウンド・ウッドペッカーは、岩場や草地の丘にすむ種として紹介されています[2]。ギラは地名です。

これらの例は、百科事典と英語版Wikipediaの記述にもとづきます。それでも、「キツツキ=森の鳥」は、大部分に当てはまっても、すべてではないことが分かります。

では、日本のキツツキはどうなのでしょうか。日本は森の多い国です。それでも種ごとにすむ場所は同じではありません。

百科事典には「樹木のない地方に生息する種さえある」とあり、例としてアフリカ南部と南アメリカ南部が挙がる。アリスイ類は樹木が散在する草地や疎林に生息する[1]。

英語版Wikipediaは、キツツキが草原や砂漠にも進出したとする。砂漠では背の高いサボテンが営巣に使われ、米国南西部のギラ・ウッドペッカー(ギラは地名)が例に挙がる。南アフリカのグラウンド・ウッドペッカーは岩場や草地の丘にすむ[2]。サボテンの例は、この英語版Wikipediaの記述にもとづく「といわれる」程度の話である。

ここから言えるのは、「木をつつく」行動が、森という条件に固定されていないという点である。この観点で日本の種を見ると、森の中でもすみかが細かく分かれていることが見えてくる。

3. くまげらは、どうして ひろい もりが いるの?

3. クマゲラは、つがい1組に東京ドーム約85個ぶんのブナ林が要る

3. クマゲラの営巣木と、つがい1組に必要なブナ林の面積

にほんで みつかって いる きつつきは、ぜんぶで 10しゅるいです。それぞれ、すむ もりが ちがいます。

くまげらは、にほんの ほんしゅうに いる きつつきの なかで いちばん おおきい とりです。北海道ほっかいどうと、あおもり・あきた・いわてで くらして います。

すを つくるには、まっすぐで ふとい きが ひつようです。たかさ 10メートル いじょうの ところまで、えだが ない きです。ふとさは、おとなの むねの たかさで 60センチ いじょうと されて います。

ひとつがいが くらすには、ブナの もりが 300から 400ヘクタールも いる、と いわれます。東京とうきょうドームの 85こぶんほどです。ただし、これは みつもりで、ぴったりの かずでは ありません。

日本で確認されているキツツキは、全部で10種です。このうちクマゲラは、日本の本土にすむ8種のなかで最大で、主な生息地は北海道と青森・秋田・岩手です[1][4]。

青森県の資料によると、巣をつくる木には、幹が直立していて、下の枝の高さが10m以上、胸の高さでの直径が60cm以上あることが必要です。そんな木がたくさん残っている、古くて大きな森でなければ暮らせません[4]。

ひとつがいに必要なブナ林の広さは、当初は300ha、白神山地の調査では400ha以上とされています。400haは400万㎡です。東京ドームの建築面積を約4.7haとして計算すると、約85個分になります[4]。これは見積りで、すべての地域に当てはまる数字ではありません。

体の大きなクマゲラは、巣にも、えさをさがす範囲にも、広くて古い森を求めます。では、体の小さな種や、島にすむ種はどうでしょうか。

クマゲラは、日本の本土にすむキツツキ科8種のなかで最大とされ、主な生息地は北海道と青森・秋田・岩手である[4]。体が大きいぶん、巣をつくれる木も限られる。青森県の資料は、営巣木の条件を、幹が直立し下枝高10m以上、胸高直径60cm以上と記す[4]。

この条件を満たす木は、若い林にはない。そのため、ひとつがいに必要なブナ林は、当初300ha、白神山地での調査では400ha以上と見積もられている。東京ドームの建築面積約4.7haで割ると、400haはおよそ85個分、300haでも約64個分である[4]。1haは約1万㎡だから、400haは約4km²にあたる。

この広さは「必要な広さの見積り」であり、つがいごとの実測値ではない。つがい1組が使う森の広さを数百haという単位で考えるほど、巨木の残る古い森が、広くまとまって必要になるということである。

では、体の大きさも、すむ土地もちがう種は、どんな森を必要とするのか。島にすむ種を見る。

4. おきなわの きつつきは、どこに すんで いるの?

4. 沖縄島北部にすむノグチゲラ、2023年に最も南の記録

4. ノグチゲラの生息地と、2023年の最南端記録

沖縄おきなわの きたの ほうの「やんばる」と いう もりに、ノグチゲラが すんで います。ここだけに すむ きつつきです。

スダジイと いう きの おおい もりで、4がつから 6がつごろに、きの みきに あなを ほって こそだてを します。くにの とくべつ てんねんきねんぶつです。

2023ねんの 5がつ、おきなわの ほくぶの もりで、とびたった ばかりの ひなと おやどりが みつかりました。これまでで いちばん みなみの かくにんです。

かんきょうしょうは、ほかの いきものの たいさくが すすんだので、ノグチゲラが すこしずつ みなみへ ひろがって いるのでは、と みて います。ただし、はっきり わかった わけでは ありません。

ノグチゲラは、沖縄島北部の「やんばる」の亜熱帯の照葉樹林にすみ、1個体群だけが分布します。環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類、国の特別天然記念物です[5]。

主な生息地は、スダジイ(イタジイ)が多く、林の年齢が40年以上の森といわれます。4〜6月ごろ、イタジイなどの幹に巣穴を掘って子育てをします[5]。

2015年には、名護市北部の源河地域で営巣が初めて確認されました。2023年5月14日には、名護市の多野岳と名護岳の中間の森林で、巣立ち直後のひなと親鳥が見つかりました。これまでで最も南の確認です[5]。

環境省は、外来種対策が進んだことで、先駆けの個体が南へ生息域を広げているのではないかと見ています。これは担当者の見方で、原因まで確かめられたわけではありません[5]。

ノグチゲラは、沖縄島北部の「やんばる」の亜熱帯照葉樹林に、1個体群だけが分布する。環境省レッドリストでは絶滅危惧IA類、国の特別天然記念物でもある。主な生息地はスダジイ(イタジイ)が優占する林齢40年以上の森とされ、4〜6月ごろ、イタジイなどの幹に巣穴を掘って子育てをする。[5]

その分布が、近年わずかに動いている。琉球新報によると、2015年に名護市北部の源河地域で営巣が初めて確認され、2023年5月14日には、名護市の多野岳と名護岳の中間の森林で、巣立ち直後のひなと親鳥が確認された。これまでで最南端の記録で、生息域拡大を示す重要な事例と報じられた[5]。

環境省は、外来種対策が進んだことで先駆的な個体が南へ分布を広げているのではないかと見る。しかしこれは担当者の見解で、確認されたのは「記録が南へ延びた」ことまでである[5]。

5. まちの こうえんにも、きつつきは いるの?

5. 街の緑地にもすむ、日本でいちばん小さなコゲラ

5. コゲラは街の緑地にも現れる:最小のキツツキと入口の小さな巣穴

こげらは、にほんで いちばん ちいさい きつつきです。からだの おおきさは 15センチ ほどで、スズメや シジュウカラと おなじくらいです。

にほんじゅうに いて、ちかごろは まちの みどりにも あらわれます。ふゆは、じゅうたくがいにも くる こと が あります。

かれきに あなを あけて すを つくります。いりぐちは、ぎゅうにゅうびんの ふたくらいの おおきさです。

コゲラは日本最小のキツツキで、全長は約15cm、スズメやシジュウカラとほぼ同じ大きさです。日本全国にすむ留鳥で、近年は都市鳥化し、冬は住宅地にも現れるといわれます[6]。

巣は枯れ木に穴をあけてつくり、入口は牛乳瓶のふたくらいの大きさです[6]。クマゲラの営巣木のような太い木と比べると、ずっと小さな穴です。

コゲラは街の緑地にも現れますが、その理由を巣穴の大きさだけで説明することはできません。同じキツツキの仲間でも、巣の大きさや必要な森の広さがこれほどちがう種がいる、ということは見えてきます。

コゲラは日本最小のキツツキで、全長約15cm、スズメやシジュウカラほどである。日本全国の留鳥で、近年は都市鳥化し、冬は住宅地にも現れる[6]。

営巣は枯れ木に入口が牛乳瓶のふた程度の穴をあけて行う[6]。クマゲラの営巣木に求められる直径60cm以上という条件とは、ずいぶんちがう。コゲラの巣穴は小さい。街の緑地にも現れるが、その理由を巣穴の大きさだけで説明することはできない。

クマゲラとコゲラは同じ「キツツキ」であっても、森に求める条件が大きくちがう。次の章では、こうして掘られた穴が、キツツキ以外の動物にどう使われるかを見る。

6. きつつきの あなは、だれが つかうの?

6. 毎年新しい穴を掘るアカゲラは、小さな動物に家を貸している

6. 巣穴の「供給者」としてのアカゲラ:穴を掘れない動物の住みか

あかげらは、ひらちから やまの はやしに すんで います。ふゆは、へいやにも きます。

この きつつきは、まいとし あたらしい あなを ほります。ふるい あなは どうなるのでしょう。

シジュウカラや ムクドリ、リス、モモンガ、コウモリなど、じぶんでは あなを ほれない ちいさな どうぶつが、つかうと いわれます。あかげらは「すあなを くれる とり」なのです。

アカゲラは平地から山地の林にすみ、冬は平野部にも来ます。毎年新しい巣穴を掘ります[3]。

新潟県の資料は、アカゲラが、自分では穴を掘れないシジュウカラ類、ムクドリ類、リス類、モモンガ類、ヤマネ、コウモリ類などの小動物にとって、貴重な巣穴の供給者になっていると説明しています[3]。

つまり、キツツキがすむ森には、キツツキだけでなく、穴を借りる動物たちもすんでいることになります。キツツキの暮らす場所は、その森のほかの生きものの暮らす場所ともつながっているのです。

アカゲラは平地から山地の林にすみ、冬季は平野部にも来る。毎年新たな巣穴を掘る[3]。新しい穴を掘る年には、前に掘った穴が残っていることもある。

新潟県の資料は、アカゲラの巣穴を、自分で穴を掘れないシジュウカラ類・ムクドリ類・リス類・モモンガ類・ヤマネ・コウモリ類などの小動物への「貴重な巣穴供給者」と位置づけている[3]。これは県の展示資料の記述である。

つまり、キツツキがすめる森は、穴を借りる動物の暮らしの場でもある。クマゲラが巨木の残る古い森を必要とするのと同じように、穴を借りる小さな動物たちも、キツツキが穴を掘れる木のある森に支えられていることになる。

7. あなの あいた きを みつけたら

7. 穴のあいた木を見つけたら、だれの家かを考えてみる

7. 身近な緑地で、巣穴の大きさから住人を考える

きょう できる こと

こうえんや かわらの きを みて、みきに あなが あいた きが ないか さがして みましょう。みつけたら、あなの おおきさを めで くらべます。こげらの いりぐちは、ぎゅうにゅうびんの ふたくらいです。

きには のぼらず、あなに ゆびを いれては いけません。むしや ほかの いきものが いることが あります。とおくから みるだけに します。

しらべる とき

あおもりけんの ホームページに、くまげらの ページが あります。おうちの ひとと いっしょに よんで みましょう。

今日できること

公園や河原の木を見て、幹に穴があいたものがないか探してみます。見つけたら、穴の大きさを目で見て比べます。コゲラの入口は牛乳瓶のふたほどです。

木には登らず、穴に指を入れてはいけません。ハチやほかの生きものが入っていることがあります。離れて見るだけにします。

資料を読むなら

青森県のホームページに、クマゲラについての日本語の説明があります[4]。営巣木の条件や、必要な森の広さが書かれています。

新潟県の展示鳥類のページには、アカゲラの穴を使う動物の名前が並んでいます[3]。

今日できること

近くの緑地で、枯れ木や幹の穴を探し、入口の大きさを目で比べるとよい。コゲラの入口は牛乳瓶のふた程度とされ、これが大きさの目安になる。木には登らず、穴に手を入れない。ハチなどがいる場合がある。

資料を読むなら

青森県のクマゲラの解説[4]には、営巣木の条件と、つがいに必要なブナ林の面積が書かれている。新潟県の展示鳥類のページ[3]は、アカゲラの巣穴を使う動物を挙げている。ノグチゲラの分布の変化は、琉球新報の記事[5]で確かめられる。日本の種名の一覧は、日本鳥類目録など一次の資料で確かめるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. コトバンク「キツツキ」(世界大百科事典・ニッポニカ・ブリタニカ国際大百科事典). https://kotobank.jp/word/%E3%82%AD%E3%83%84%E3%83%84%E3%82%AD-51091 (世界の分布・種数・日本の10種)
  2. Wikipedia: Woodpecker. https://en.wikipedia.org/wiki/Woodpecker (分布のいない地域・砂漠のサボテン)
  3. 新潟県 展示鳥類剥製(アカゲラ). https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kankyotaisaku/1356908745351.html (アカゲラの巣穴と小動物)
  4. 青森県 クマゲラ(天然記念物). https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kyoiku/e-bunka/kinen_tennen_2_03.html (営巣木の条件・必要なブナ林の広さ)
  5. 琉球新報(2023年5月25日、2024年7月23日更新). https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1716692.html (ノグチゲラの生息域と最南端の確認)
  6. tenki.jp 日本気象協会「コゲラ」. https://tenki.jp/suppl/kous4/2021/12/28/30836.html (コゲラの大きさと巣穴)

なおした ところ

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