このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

うなぎの あかちゃんと 川の うなぎは、おなじ ものを たべるの?

うなぎの赤ちゃんと川のうなぎは、同じものを食べているのでしょうか

ニホンウナギの食べ物は一生でどう変わるのか ── 海の仔魚と川のウナギを比べる

分野:生きもの

うなぎの あかちゃんは、さかなや エビでは なく、うみの なかを ふわふわ ただよう「マリンスノー」を たべて いると かんがえられて います[1]。

どうして そう おもわれて いるのでしょう。川で そだった うなぎは、なにを たべるのでしょう。うなぎの 食べものが、一生の なかで 三つの じきに わかれて いる ことが わかります。

うなぎの赤ちゃんは、魚やエビを追いかけているわけではなさそうです。東京大学などの研究チームは、海の中で雪のように降る「マリンスノー」を食べているという説を支持する結果を、2012年に発表しました[1]。

では、川で育ったうなぎは何を食べ、産卵に向かう旅では何を食べるのでしょうか。うなぎの食べ物が一生のなかで三つの時期に分かれること、そしてその謎が完全養殖の壁になっていたことが分かります。

ニホンウナギの仔魚の栄養段階は平均2.4と低く、動植物プランクトンの死骸などが集まったマリンスノーを食べているという説を支持する、と2012年に報告された[1]。川で動物を食べるウナギとは、食べ物の位置づけがまるで違う。

では、その違いはどう確かめられたのか。海の仔魚、川のウナギ、産卵回遊中の銀ウナギの食べ物と、それが人工的な飼育の壁だった理由が分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. 夜の 川で、うなぎは なにを たべて いるの?

1. 夜の川の底で、うなぎは虫やエビを食べている

1. 川のウナギは夜行性の肉食 ── 水生昆虫・エビ・小魚を食べる

よるの 川の そこで、うなぎが ゆっくり うごきます。むしや エビを さがして いるのです[2]。

川の うなぎは、よる うごく いきものです。水の なかに すむ むしの なかま、ちいさな さかな、エビなどを たべます。かなりの 肉しょくで、かいや、大きな どうぶつの しがいまで たべる、という しりょうも あります[3]。

ただし 食べものは、川や うなぎの 大きさ、きせつで かわります。「川では これだけ」とは いえません。

うなぎは 川に すむ ように なってから、5ねんから 10ねんほど そこで くらす といわれます[3]。では、たまごから うまれた ばかりの あかちゃんも、おなじ ものを たべるのでしょうか。

夜の川底では、うなぎがゆっくり動いています。川にいるニホンウナギは夜行性で、水生昆虫、小型の魚、エビ類などを食べるとされています[2]。水族館の解説には、エビやカニ、貝、昆虫のほか、大きな動物の死肉まで食べる「かなりの肉食」という記述もあります[3]。

ただし、食べ物は川や体の大きさ、季節によって変わります。「川のうなぎはこれだけ食べる」とは言い切れません。

うなぎは、河口から川にのぼったあと、5〜10年ほどを川で過ごすとされます[3]。長い年月を、動物を襲って食べる魚として過ごすわけです。では、卵からかえったばかりの赤ちゃんも、小さな虫やエビを食べているのでしょうか。

川にすむニホンウナギは夜行性で、水生昆虫、小型の魚類、エビ類などを食べる、と淡水魚図鑑は記す[2]。水族館の解説は、エビ・カニ・貝・昆虫に加え、大きな動物の死肉まで食べる「かなりの肉食」だとする[3]。

食べ物は固定されていない。河川、体の大きさ、季節によって変わりうるため、1つの資料の食べ物リストをウナギ全体の食性として読むのは危うい。本稿は、そこを前提に「川では動物を食べる時期がある」という大枠だけを取る。

河口に着いたシラスウナギは川をさかのぼり、着底後に摂餌を始め、クロコと呼ばれる段階になる。川では5〜10年ほど過ごす[3]。この長い期間が「動物食」の時期だとすると、産卵場で生まれたばかりの仔魚も同じ食性なのか、という疑問が出る。仔魚はごく小さく、川の虫やエビを狩る姿は想像しにくい。

2. うまれた ばかりの あかちゃんは、うみの「雪」を たべる?

2. 生まれたばかりの赤ちゃんは、海の「雪」を食べている?

2. 仔魚の食べ物は魚でもエビでもない ── 栄養段階2.4が示すもの

ニホンウナギは、日本から 南東へ 2000から 2500キロほど はなれた、マリアナしょとうの ちかくの うみで うまれます[3]。うまれた あかちゃんは、うみの ながれに のって、はこばれて きます。

この あかちゃんが なにを たべて いるのかは、ながい あいだ わかりませんでした[4]。

2012ねん、けんきゅうの チームが、ひとつの こたえを だしました。あかちゃんは「マリンスノー」を たべて いる という せつを、ささえる けっかです[1]。

マリンスノーは、うみの なかを ゆっくり しずむ、小さな つぶです。プランクトンの しがいなどが あつまって できます。雪の ように 見えるので、この なまえが つきました。

「たべものが 雪」と きくと、ふしぎな はなしです。でも、ここまでは「そう かんがえると つじつまが あう」という ところまでです。どうして そこまで いえるのでしょう。

ニホンウナギは、日本の南東約2,000〜2,500km、マリアナ諸島近くの海で生まれ、海流に運ばれて冬に河口へ着くとされています[3]。数字に幅があるのは、資料によって距離の書き方が違うためです。

生まれたばかりの赤ちゃんは、レプトセファルスと呼ばれる仔魚です。この仔魚が何を食べているかは長いあいだ分かっていませんでした[4]。

2012年11月、JAMSTEC(海洋研究開発機構)と東京大学大気海洋研究所の研究チームは、仔魚の食べ物はマリンスノーだという説を支持する結果を発表しました[1]。

マリンスノーは、動物プランクトンや植物プランクトンの死骸などが集まって、海の中をゆっくり沈んでいく粒です。雪のように見えるのでこの名前がつきました。

これは「確定」ではなく、「そう考えると説明がつく」という結果です。では、小さな仔魚の食べ物を、どうやって調べたのでしょうか。

ニホンウナギの産卵場は、日本の南東約2,000〜2,500kmのマリアナ諸島近海とされる(距離は資料で2,000km・2,500kmと幅がある)[3]。生まれた仔魚はレプトセファルスという平たい形をしており、海流に乗って移動し、冬にシラスウナギとして河口に到達する。この仔魚が何を食べるかは長く分かっておらず、体表からの栄養吸収説、マリンスノー説、オタマボヤのハウス説、ゼラチン質動物プランクトン説の4説が並立していた[1]。

決め手になったのは、栄養段階という考え方である。植物プランクトンを1.0、それを食べる動物プランクトンを2.0とする指標で、食べた相手が高い段階なら、食べた側の数字も高くなる。JAMSTECと東京大学大気海洋研究所のチームは、仔魚の平均栄養段階を2.4(±0.13)と報告した[1]。マリンスノーの栄養段階は1.0〜1.5と見積もられており、仔魚がそれを食べていると考えると説明がつく値だ、とされる[4]。

動物プランクトンや小魚を主食にするなら、数字はもっと高くなるはずだ。そのため「2.4は低い」ことが、マリンスノー説の根拠になった。ただしこれは強い示唆であって、食べ物の確定ではない。その後、別の方法でも確かめが進んだ。

3. こんな 小さな あかちゃんの 食べものは、どう しらべたの?

3. 食べ物の「段」と、おなかの中のDNAで確かめる

3. 栄養段階と腸内容物のDNA ── 2つの方法でマリンスノー説を確かめる

ひとつめの ほうほうは、たべものの「だん」を しらべる ことです。しょくぶつプランクトンを 1、それを たべる どうぶつプランクトンを 2、と かんがえます。

あかちゃんの かずは 2.4 でした。さかなや エビを たべるなら、もっと 大きな かずに なるはずです。ひくい かずなので、マリンスノーを たべている と かんがえると つじつまが あいます[1]。

ふたつめは、おなかの なかの DNAを しらべる ほうほうです。西の 北たいへいようで あかちゃんを 75ひき とって しらべました。いちばん おおく みつかったのは、うずべんもうそうという、小さな しょくぶつプランクトンの なかまでした[5]。

おなかの なかみは、水の ふかさ 112メートルほどの、プランクトンが おおい ところの つぶに いちばん にて いました[5]。ただし この かずは、よみとった DNAの わりあいで、たべた りょうでは ありません。

それでも、ふたつの ほうほうが どちらも「マリンスノーを たべる」と いう みかたと あいました。

一つめ:食べ物の段を測る

栄養段階は、食物連鎖のなかの「段」を数字にしたものです。植物プランクトンを1.0、それを食べる動物プランクトンを2.0と考えます。仔魚の平均は2.4(±0.13)で、かなり低い値でした[1]。マリンスノーは1.0〜1.5ほどと見積もられ、それを食べていると考えると説明がつく数字です[4]。

二つめ:おなかの中のDNAを調べる

2021年の論文では、西部北太平洋で採った仔魚75尾(ニホンウナギ36尾を含む4つのグループ)の腸の中身をDNAで調べました。いちばん多かったのは渦鞭毛藻という植物プランクトンの仲間で、読み取れた配列のうち、腸のなかで約67%、周りの海水の粒子で約89%を占めました[5]。

腸の中身は、水深の平均約112mにある、クロロフィル(植物プランクトンの色素)が多い層の粒子にもっともよく似ていました[5]。これらの割合は「読み取れた配列の割合」で、食べた量の割合ではありません。それでも、栄養段階の結果と同じ向きの手がかりです。

2つの方法がどちらも「低い段のマリンスノーを食べる」という見方と合いました。では、この謎が解けていないとき、困っていたのは誰でしょうか。

栄養段階の結果を補ったのが、仔魚の腸内容物のDNAを読む方法だった。Watanabeらは2021年、西部北太平洋で採集した仔魚75尾(ニホンウナギ36尾を含む4グループ)の腸内容物を調べた[5]。最も多く検出されたのは渦鞭毛藻(植物プランクトン)で、腸内では約67%、周囲の海水中の粒子では約89%を占めた。この割合は読み取った配列に占める割合で、食べた量の割合ではない。

注目点は、腸内容物が水深の平均約112mのクロロフィル極大層の粒子に、最も似ていたことである[5]。仔魚は、この層の低い栄養段階の粒子を、マリンスノーとして食べているという見方と合う。腸内容物で最も多かったのが植物プランクトンだったことは、動物を食べる川のウナギと対照的である。

ここで限界も押さえる。栄養段階2.4は平均値で、どの餌を食べたかを直接示すわけではない。DNAも、粒子の中の何を仔魚が消化し、栄養にしているかまでは語らない。「何の成分が必須か」はまだ分かっていない。2つの方法が同じ向きを指すとはいえ、天然の食べ物の全体像は未解明である。それでも、この謎は人工飼育に直結する問題だった。

4. たまごを うむ たびの あいだは、なにを たべるの?

4. 産卵の旅の間は、食べずに泳ぎ続ける

4. 銀ウナギは絶食で数千kmを移動する ── 蓄えた脂肪が燃料

川で 大きく なった うなぎは、たまごを うむ ために、また うみへ むかいます。このころの うなぎは、「ぎんうなぎ」と よばれる すがたに なって います[6]。

たびの あいだ、うなぎは ごはんを たべません。からだに ためた しぼうを つかって、何千キロも およぎます[6][9]。

くちは、川に いた ころより 小さく なります。はも ぬけます[6]。たべる ための どうぐが、いらなく なるのです。

うなぎは、川で むしや エビを たべ、たびでは なにも たべず、あかちゃんの ころは マリンスノーを たべる。三つの じきで、ぜんぜん ちがいます。この 食べもの さがしが、もう ひとつの なぞに つながって いました。

川で何年も育ったうなぎは、産卵のために川を下ります。このころの個体は「銀ウナギ」と呼ばれます[6]。

旅のあいだ、銀ウナギは餌を食べません。体に蓄えた脂肪をエネルギーにして、数千kmを泳ぎ続けるとされています[6][9]。口は川にいたころより小さくなり、歯も抜けるそうです[6]。

こうして三つの時期を並べると、うなぎの食べ方は大きく三通りです。赤ちゃんの時期は、海の中の低い栄養段階の粒(マリンスノー)。川では、水生昆虫やエビ、小魚を食べる肉食。産卵の旅では、何も食べない。

この「赤ちゃんの食べ物が分からない」という謎は、うなぎを人の手で育てるうえで、大きな壁になっていました。

川で育ったウナギは、産卵のため川を下り、銀ウナギと呼ばれる段階になる。九州大学総合研究博物館の解説によれば、口は川にいたころより小さくなり、歯も脱落する[6]。JAMSTECの報告も、回遊中は餌を取らず、蓄えた脂肪を使って数千kmを移動するとする[9]。

ここまでで、食べ方は三段に整理できる。海では、低い栄養段階(2.4)のマリンスノー。川では、水生昆虫・エビ・小魚を食べる夜行性の肉食。産卵の旅では、蓄えた脂肪だけを使い、何も食べない。同じ種が一生の間に、これほど異なる食べ方を切り替える。

食性が切り替わるなら、人の手で育てるときも、成長段階に応じた餌が要る。ところが最初の仔魚の食べ物が分からなかったため、人工飼育では長いあいだ「何を与えるか」が壁になった[4]。

5. あかちゃんの ごはんが わからないと、なにが こまるの?

5. 赤ちゃんの食べ物が分からないと、育てる餌を決めにくい

5. 完全養殖の鍵 ── サメ卵から卵黄ペーストへ

うなぎの あかちゃんが なにを たべるのか わからないと、そだてる ための ごはんを くふうするのが むずかしく なります。人の てで たまごから おや まで そだてて、また たまごを うませる ことを「かんぜんようしょく」と いいます。

2010ねん、日本の けんきゅうしょが、うなぎで はじめて かんぜんようしょくに せいこうしました。うまれた あかちゃんは、6にち めに ごはんを たべはじめました[7]。

ごはんには、アブラツノザメという さめの たまごが つかわれて きました。2002ねんには、この たまごを つかった ごはんで、シラスウナギまで そだてる ことが できました[8]。

ところが さめの たまごは、さめを まもる 話し合いが ひろがり、たくさん あつめにくく なりました[8]。

そこで、かわかした たまごの きみに、ぎゅうにゅうの こなと さかなの こなを まぜた ペーストの ような ごはんが つくられました。この ごはんでも、シラスウナギまで そだちました[8]。ただし、これは 人が つくった ごはんです。しぜんの あかちゃんが たべる ものと おなじだとは、いえません。

卵から育てて親にし、また卵を産ませて次の世代を得ることを「完全養殖」といいます。2010年、水産総合研究センター(当時)がウナギで初めてこれに成功しました。実験室で生まれたウナギを2〜5年育てて親魚にし、人工授精で次の世代の仔魚を得たのです。ふ化した仔魚は、6日後から餌を食べ始めました[7]。

仔魚の餌には、日本沿岸で獲れるアブラツノザメの卵が長く使われてきました。2002年には、水産研究・教育機構がこの卵を原料にした餌で、稚魚(シラスウナギ)まで育てることに成功しています[8]。ただしサメ卵は、資源保護の議論から量産が難しくなりました[8]。

そこで、乾燥卵黄を主原料に、脱脂粉乳と魚粉を加えたペースト状の餌が作られました。2021年9月には特許が出され、ふ化から200日後まで約1割が生き残り、サメ卵の餌と同じ程度でした。生後300日以上飼育できた仔魚のうち40%が、稚魚まで成長しています[8]。この40%は、300日以上飼育できた仔魚のうちの割合で、ふ化した全体ではありません。

天然の仔魚が食べるマリンスノーと、飼育用の餌が同じとは限りません。何が必須の栄養なのかも、まだ分かっていません。

完全養殖とは、人工ふ化した仔魚を育てて親魚にし、人工授精で次の世代を得ることである。水産総合研究センター(当時)は2010年、ウナギでこれに初めて成功した。実験室で生まれた稚魚を2〜5年育てて親魚とし、孵化した仔魚は6日後に餌を食べ始めた[7]。必須栄養成分が解明されれば、完全養殖の早期実現につながると期待されていた[4]。

仔魚の餌には長く、日本沿岸で獲れるアブラツノザメの卵が使われてきた。水産研究・教育機構は2002年、この卵を原料にした餌で稚魚(シラスウナギ)まで育てることに成功したが、野生生物の国際取引規制の議論で資源保護が求められ、サメ卵の量産が難しくなった[8]。そこで同機構は、乾燥卵黄を主原料に、脱脂粉乳と魚粉を加えたペースト状の餌を開発した(特許は2021年9月)。ふ化から200日後まで約1割が生存し、サメ卵の餌と同等だった。生後300日以上飼育した仔魚のうち40%が稚魚まで成長したが、この40%は長期飼育できた個体の割合である[8]。

注意したいのは、この餌が天然の食べ物の再現ではない点だ。サメ卵や卵黄ペーストは、人が与える餌として機能するだけで、天然の仔魚の餌がマリンスノーだとされることとは別の話である。「何が必須成分か」は、前節のDNAや栄養段階の研究を含め、まだ全体像が出ていない。食べ物の謎は、生態の問題であり、同時に、技術の問題でもある。

6. うなぎの ごはんで、つぎに しらべたいのは?

6. 三つの「ごはん」を図にしてみよう

6. 一次資料に戻ると見えること ── 日本語で読める入口

かみを 三つに おって、うなぎの ごはんの ようすを えに して みましょう。

ひとつめは あかちゃんの ころ(マリンスノー)。ふたつめは 川の よる(むしや エビ)。みっつめは たびの とき(なにも たべない)。

えを かいたら、それぞれに ひとつずつ「まだ しらない ことは?」を かいて みて ください。たとえば「マリンスノーの なかみは なに?」「川では どんな むしが すき?」です。

しらべたく なったら、東京大学の ホームページに ある、うなぎの あかちゃんの 食べものを かいた ページが、日本語で よめます[1]。大人の 人と いっしょに 見て みましょう。

紙を三つに折って、うなぎの「ごはん」を絵にしてみましょう。一つ目は赤ちゃんの時期(マリンスノー)。二つ目は川の夜(虫やエビ)。三つ目は産卵の旅(何も食べない)。

絵を描いたら、それぞれに「まだ分からないこと」を一つずつ書きます。たとえば、マリンスノーのなかで仔魚が実際に栄養にしているのは何か、川のうなぎは川や季節でどう食べ物を変えるのか。書いた問いの数だけ、調べる入口になります。

東京大学の「ウナギ仔魚は何を食べているか」[1]は、日本語で読める報告です。4つの説が並んでいた状況から、どの方法で絞りこんだのかを、自分の目で読めます。

この記事の中心の数字、栄養段階2.4は、東京大学のページで日本語のまま確かめられる[1]。4つの説がどう並んでいたか、どの説がどの点で弱いかも書かれている。DNAを使った2021年の論文[5]は英語だが、図表から、腸内容物がどの深さの粒子に似ていたかが見える。

読むときの観点は三つある。①栄養段階は「平均」であり、個体の餌を示すわけではない。②DNAの割合は配列の割合で、食べた量ではない。③完全養殖の餌は、天然の食べ物の再現ではない。どれも、数字を食べ物の「確定」と読まないための注意である。

残る問いは多い。仔魚が消化して栄養にしているのはマリンスノーの何か。川では、河川や季節で何を食べ分けているか。自分で資料を探すとき、この二点を出発点にできる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:研究機関の発表と論文、公的な機関・水族館の解説を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 東京大学「ウナギ仔魚は何を食べているか」。https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/a_00101.html (仔魚の栄養段階とマリンスノー説について)
  2. 大阪府立環境農林水産総合研究所 淡水魚図鑑。https://www.knsk-osaka.jp/zukan/zukan_database/tansui/2550b2c26477834/8950b7107fb2aa8.html (川にいるうなぎの食べ物について)
  3. しまんとがわ水族館 いきもの図鑑「ウナギ」。https://www.skr.mlit.go.jp/nakamura/shimantogawa-aquarium/zukanpage/zukan_unagi.html (一生のあらすじと川での食べ物について)
  4. 科学技術振興機構 サイエンスポータル(2012年11月12日)。http://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20121112_01/ (マリンスノーの栄養段階と、完全養殖への期待について)
  5. Watanabe et al. 2021, Scientific Reports 11:5488。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7930194/ (仔魚の腸内容物のDNA調査について。英語の論文)
  6. 九州大学総合研究博物館 特別展示「ニョロニョロ」うなぎの解説。https://www.museum.kyushu-u.ac.jp/publications/special_exhibitions/2016nyoro/eel/eel.html (産卵の旅での絶食と、口・歯の変化について)
  7. 科学技術振興機構 サイエンスポータル(2010年4月9日)。https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20100409_01/index.html (2010年の完全養殖の成功について)
  8. 中日新聞(2022年1月1日)、水産研究・教育機構の発表。https://www.chunichi.co.jp/article/393737 (サメ卵と卵黄ペーストの餌について。新聞記事)
  9. JAMSTEC(海洋研究開発機構)プレスリリース(2024年10月31日)。https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20241031/ (産卵の旅で餌を取らず、蓄えた脂肪で移動することについて)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。