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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

かれいは、小さな 口で、すなの 中の なにを 食べて いるの?

口の小さなカレイは、海の底で何を、どうやって食べているのか

カレイ類は海底で何をどう食べるのか:小さな口と、貝の水管をかじる稚魚

分野:生きもの

かれいの 口は、小さくて ほそい 形を して います。この 口で、かれいは どろや すなの 中に いる ゴカイの なかまや 貝を、すいこんで 食べます。

イシガレイの あかちゃんは、すなに もぐった 貝を、まるごとではなく、すなから 出た くだの 先だけ かじって 食べると いう けんきゅうが あります。

小さな 口で、どうやって 食べるのでしょう。かじられた 貝は、どう なるのでしょう。いつ 食べるのでしょう。このページでは、かれいの 口の 形と 食べ方、食べる 月と 時間が わかります。

カレイの口は、小さく細い形をしています。京都府の海洋センターの解説では、この口は、海底の泥の中にいるゴカイの仲間や貝を吸い込んで食べるのに向いた形だと説明されています[1]。また、仙台湾の干潟では、イシガレイの稚魚が、砂に潜った二枚貝を丸ごとではなく、砂から出た水管の先だけをかじって食べるという研究があります[5]。

小さな口で、泥や砂の中の相手をどう食べるのでしょうか。水管をかじられた貝はどうなるのでしょうか。食べるのは、一年のいつ、一日のいつなのでしょうか。この記事を読むと、カレイの口の形と食べ方、水管をかじる食べ方の意味、よく食べる季節と時間帯の傾向が分かります。

カレイ類の口は小さく細く、泥中の多毛類(ゴカイの仲間)や貝類を吸い込んで食べるのに適応した構造だと、京都府立海洋センターの技師は解説する[1]。ところが、仙台湾の干潟のイシガレイ稚魚では、二枚貝を丸ごと食べるのではなく、砂の上に出たイソシジミの水管だけを、貝を殺さずにかじる食べ方、つまり「非致死性摂食」が、成長を支える極めて重要な役割を果たすとする博士論文がある[5]。

では、小さな口でどのように餌を取るのか。水管をかじられた貝への影響はどの程度なのか。摂餌は季節や時刻でどう変わるのか。このメモを読むと、口の形と餌の関係、水管をかじる食べ方(水管摂食)の意味と限界、摂餌の季節リズムと日周リズムの報告が、出典ごとの条件つきで分かる。

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1. 小さな 口は、なんの ため?

1. 小さな口は、泥の中の小さな生きものを吸い込むための形

1. 口の構造:泥中の多毛類や貝類を吸い込む形

かれいは、海の そこの すなや どろの 上で くらして います。食べものも、海の そこの どろや すなの 中に います。

かれいの 口は 小さくて ほそく、口の 先が 少し のびる 形に なって います。この 形は、どろの 中に いる ゴカイの なかまや 貝を、すいこんで 食べるのに 合って いると、きょうとの けんきゅうじょの 人は せつめいして います[1]。

ほかの 県の しりょうにも、まこがれいは イソメや ゴカイを おもな えさと して いる、と 書かれて います[3]。

では、すなに もぐった 貝は、小さな 口で どう 食べるのでしょう。

カレイの食卓は、海の底の泥や砂の中にあります。京都府立海洋センターの技師は、マコガレイの小さく細い口は、泥の中にいるゴカイ類・貝類・ヒトデ類などを吸い込んで食べるのに適応していて、口先が少し延びる構造になっている、と解説しています[1]。

成魚の食べ物と、赤ちゃんの食べ物

千葉県の三番瀬のデータベースは、マコガレイの成魚の食べ物として、多毛類(ゴカイの仲間)、甲殻類、二枚貝などを挙げています。生まれて間もない仔魚の時期は、貝類の幼生やカイアシ類(小さな甲殻類のプランクトン)などです[2]。神奈川県のおさかな図鑑も、イソメやゴカイが主な餌だと説明しています[3]。

成長に合わせて食べ物が変わっていく様子は、カレイの一生の住所を扱った記事で詳しく読めます。この記事では、口の形と「食べ方」に絞ります。

では、砂に潜った二枚貝は、小さな口でどう食べるのでしょうか。

カレイ類の摂餌は、海底の堆積物の中の小動物が中心になる。京都府立海洋センターの技師は、マコガレイの小さく細い口は、泥中の多毛類・貝類・ヒトデ類などを吸い込んで食べるのに適応しており、口先が少し延びる構造だと述べる[1]。吸い込み型の口であれば、餌を追い回す必要はなく、泥の中の小さな相手が主な餌になる、という理屈が成り立つ。ただし、口の構造と餌の関係はこの解説の整理であり、口先の動きを測った実験の報告を引いたものではない。

実際の胃内容物はどうか。千葉県の三番瀬データベースは、成魚は多毛類・甲殻類・二枚貝など、仔魚期は貝類の幼生やカイアシ類などを食べると整理している[2]。神奈川県のおさかな図鑑も、イソメやゴカイを主な餌とする[3]。体長に応じた食性の変化(プランクトンから底生動物、二枚貝へ)は、カレイの生息場所を扱った記事で詳しく扱ったので、ここでは繰り返さない。

それでは、砂に潜った二枚貝は、この小さな口でどのように食べられるのか。次の章で、稚魚の研究を見る。

2. 貝は、まるごと 食べないの?

2. 砂に潜った貝を、丸ごとではなく先だけかじる

2. 水管摂食:イソシジミの水管をかじるイシガレイ稚魚

イシガレイの あかちゃんが 育つ ところに、せんだいわんの ひがたが あります。ひがたの すなの 中には、貝が もぐって います。貝は、水を 出し入れする くだを、すなの 上に 出して います。この くだを「すいかん」と いいます。

イシガレイの あかちゃんは、貝を まるごと 食べるのでは なく、すなから 出た すいかんの 先を かじる、と いう けんきゅうが あります[5]。

貝を 生かした まま、体の 一ぶだけ 食べる 食べ方です。ひがたで イシガレイの あかちゃんが 大きく なる ために、とても 大事な 食べ方だと、けんきゅうの 人は 書いて います。

では、かじられた 貝は、どう なるのでしょう。

砂や泥に潜って暮らす二枚貝は、砂の上に水管を出して、水の出し入れをしています。その水管の先をかじって食べるのが、イシガレイの稚魚です。

東北大学の博士論文(冨山毅さん、2004年)は、仙台湾の干潟で、イシガレイの稚魚の成長が速いことに注目しました。そして、イソシジミという二枚貝の水管のように、相手の体の一部を殺さずに食べる「非致死性摂食」が、干潟でのイシガレイの生産にとって極めて重要な役割を果たしている、と述べています[5]。題名は「非致死性水管摂食を介したイシガレイとイソシジミの種間関係に関する研究」です。

この研究で言えること

これは仙台湾の干潟のイシガレイの稚魚についての研究です。マコガレイなど別の種や、別の海域でも同じ食べ方が起きているかは、この資料から言えません。

では、先をかじられた貝は、困らないのでしょうか。

二枚貝は砂泥に潜り、水管だけを堆積物の上に出して水を出し入れする。この水管の先端をかじるのが、仙台湾の干潟のイシガレイ稚魚である。東北大学の冨山毅は、2004年の博士論文で、干潟域のイシガレイの生産にとって、イソシジミの水管のような底生生物の体の一部に対する「非致死性摂食」が極めて重要な役割を果たしていると結論した[5]。題名は「非致死性水管摂食を介したイシガレイとイソシジミの種間関係に関する研究」である。

なぜ、丸ごとではなく水管なのか。この要旨だけからは、口の小さな稚魚が貝殻を割れないことが理由かどうかまでは読み取れない。確かに言えるのは、貝を殺さずに体の一部を取るので、同じ貝が回復すれば再び餌になるという点である。

イシガレイは孵化直後に全長3mmに満たず、約14mmで目が右側へ移り、浅い内湾で稚魚期を過ごして約8cmで沖へ向かうとされる[10]。水管をかじる食べ方は、この浅い海で過ごす時期の食べ方の一つとして位置づけられる。ただし、本文は要旨の検索抜粋に基づくので、結論の言葉づかいを超えた細部は、原典の論文で読む必要がある。また、この結果をマコガレイなど他の種に広げることはできない。

水管を切られた貝は、その後どうなるのか。

3. かじられた 貝は、どう なるの?

3. かじられた貝は、どれくらい困っているのか

3. 回復量と影響の大きさ:水管摂食は貝を左右するか

しらべた 人たちは、すいかんの 先を 切った あと、貝が どれくらい もとに もどるかを、じっけんで 見ました[6]。

その もどる ぶんから、川の 口に ある ひがたで、どれくらい かじられて いるかを 見つもりました。なとりがわでは、4月から 5月に、よく かじられて いたと いいます[6]。

では、かじられると 貝は 太れなく なるのでしょうか。べつの けんきゅうでは、かじられた えいきょうは、貝の 太り方に だけ 見つかりました。ばらつきの うち、かじられた ことが かかわって いたのは 1.2%でした。ひがたの かんきょうの ちがいが かかわって いたのは 30.2%です[7]。

30.2を 1.2で わると、およそ 25です。貝の ようすの ばらつきを せつめいできた わりあいは、かんきょうの ほうが、かじられた えいきょうの 25ばいくらい ありました。かじられる ことは、貝の ようすを 左右する 理由の ひとつに なるかもしれない、という ことです。

では、かれいの なかま ぜんたいでは、どんな ものを 食べて いるのでしょう。

水管の先を切られた貝は、そのまま弱ってしまうのでしょうか。研究者たちは、イソシジミの水管の先を切ったあと、どのくらい回復するかを実験で調べました。その回復の量から、野外でイシガレイにどれくらいかじられているか(摂餌圧)を見積もっています。名取川の干潟では、4〜5月にこの値が高かったと、科研費の研究概要にあります[6]。

影響は、思ったより小さかった

では、かじられることは、貝の暮らしにどれくらい響くのでしょうか。名取川河口の干潟を調べた論文では、水管をかじられる影響が見つかったのは、貝の肥満度(太り具合)だけでした。しかも、肥満度のばらつきのうち、水管をかじられたことで説明できたのは1.2%です。干潟の環境の違いで説明できたのは30.2%でした[7]。

30.2÷1.2は約25です。ばらつきを説明できた割合は、環境の違いのほうが、水管をかじられた影響のおよそ25倍だったことになります。論文の要旨は、水管をかじられることは、貝の状態を左右する要因の一つである可能性にとどまる、という読み方を示しています。

ここまでは、イシガレイの稚魚という一つの場面でした。ほかのカレイは、どんなものを食べているのでしょうか。

水管の先は、切られても一部が回復する。科研費の研究概要によれば、研究者たちは、イソシジミの水管の先端を切除したあとの回復の程度を実験室で測り、その回復量をもとに野外でのイシガレイによる摂餌圧を見積もった。名取川では4〜5月に高い摂餌圧が見られたという[6]。概要には「1個体が1日あたり約1.5回」という数値が見えるが、何の回数かが概要の抜粋だけでは読み取れないため、この記事では数値として使わない。

それでは、再生できるといっても、かじられることは貝にとって軽いのか。Tomiyama ら(2010年)の論文は、名取川河口の干潟で、水管捕食(サブレサル捕食)の影響を検討した。負の影響が検出されたのは肥満度だけで、そのばらつきに対する説明率は1.2%にとどまった。一方、環境要因の説明率は30.2%である[7]。

30.2÷1.2で約25となるので、貝の状態のばらつきを説明できた割合は、環境のほうが水管をかじられた影響の約25倍である。したがって、水管をかじられることは貝の状態を左右する一つの要因の可能性はあるが、主因とまでは言えない。生きている貝を、回復の見込める範囲だけ食べるのであれば、貝側の損失が小さいまま食べ物の供給が続く、という見方もできる。ただし、これは論文要旨の数値と筆者の整理であり、貝の個体群全体への長期の影響を測った結果ではない。

以上は、イシガレイの稚魚と干潟の二枚貝という、一つの組み合わせの話である。ほかのカレイ類は、どのような餌を食べているのか。

4. ほかの かれいも、海の そこの ものを 食べる?

4. 種類がちがっても、食べ物は海の底の小さな生きもの

4. 種が違っても共通する餌:底生の小動物

まがれいも、食べものは 海の そこに います。国の しりょうの ようやくには、まがれいの 食べものとして、ゴカイの なかま、貝、小さな エビや カニの なかまが 出て います[4]。

青森県の しりょうでは、ゴカイの なかま、貝、ヨコエビ、クモヒトデの なかまが 書かれて います[4]。

かれいの しゅるいが ちがっても、海の そこに いる 小さな いきものが 中心なのです。

では、いつも 同じように 食べて いるのでしょうか。

マガレイは、日本海でも北日本でも食べられるカレイです。水産庁の資源評価の要約では、日本海のマガレイの食性として、多毛類、二枚貝、小型甲殻類が挙げられています。青森県の資料では、ゴカイ類・二枚貝・ヨコエビ類・クモヒトデ類です[4]。

イシガレイの食べ物も、多毛類・魚類・甲殻類などとされています[10]。種類や海がちがっても、中心は海の底にいる小さな動物です。

では、食べる量や時間は、一年中、一日中同じなのでしょうか。

種が違うと、餌は違うのか。マガレイ(日本海系群)では、水産庁の資源評価の要約に、食性として多毛類・二枚貝・小型甲殻類が挙げられている。青森県の資料では、ゴカイ類・二枚貝・ヨコエビ類・クモヒトデ類である[4]。イシガレイは、多毛類・魚類・甲殻類などを食べるとされる[10]。

資料によって挙げられた分類群は少しずつ違うが、共通しているのは、多毛類や貝類、小型の甲殻類といった、海底の堆積物の表面や内部にいる小動物が中心だという点である。ここまでの口の構造(第1章)と、稚魚の水管摂食(第2章)は、この大きな傾向の中に位置づけられる。ただし、水産庁の資料は検索結果の要約でしか読んでおらず、各分類群の割合までは扱えない。

こうした「何を食べるか」に対して、「いつ食べるか」はどうか。次の章では季節を見る。

5. 一年の うち、いつ たくさん 食べるの?

5. 一年のうち、よく食べる月とほとんど食べない月がある

5. 摂餌の季節リズム:産卵期・摂餌盛期・摂餌緩慢期

北海道の きこないわんに すむ まこがれいでは、1年が 3つに 分けられました。たまごを うむ 時期は 2月から 4月、よく 食べる 時期は 5月から 7月、あまり 食べない 時期は 8月から 1月です[8]。

春から 夏の はじめは 食べる ことが とても さかんで、冬は ほんの 少ししか 食べません。

数えると、よく 食べる 月は 3か月、あまり 食べない 月は 6か月です。

きょうとの せつめいでは、まこがれいの おいしい 時期は、夏の はじめから、秋の おわりまでと されて います[1]。よく 食べる 時期と、重なって います。ただし、食べるから おいしい、と しりょうが 言って いるわけでは ありません。

では、一日の 中では、いつ 食べるのでしょう。

北海道大学の学位論文の要旨は、北海道南部の木古内湾のマコガレイの成魚について、1年を3つの時期に分けています。産卵期(2〜4月)、摂餌盛期(5〜7月)、摂餌緩慢期(8〜1月)です。摂餌の強さは春から初夏にかけて非常に高く、そのあと下がって、冬にはわずかしか食べません[8]。

月数を数えると、盛んに食べる月は3か月、あまり食べない月は6か月です。1年の半分は、ほとんど食べない時期になります。

「旬」とのかさなり

京都府の解説では、マコガレイの旬は、初夏から産卵前の晩秋とされています[1]。摂餌の盛んな時期(5〜7月)とは重なります。ただし、「食べるから旬になる」という因果は、どちらの資料も書いていません。重なる、というところまでです。

なお、産卵期は海域で異なります。木古内湾の2〜4月という区分は、あくまで北海道南部の一つの湾の例です。

では、一日のうちでは、いつ食べているのでしょうか。

摂餌は一年を通して同じ強さなのか。北海道大学のShafiepour(1998年)の学位論文の要旨によれば、北海道南部の木古内湾のマコガレイ成魚の1年は、摂餌強度などの月変化から、産卵期(2〜4月)、摂餌盛期(5〜7月)、摂餌緩慢期(8〜1月)の3期に区分された。摂餌強度は春季から初夏にかけて非常に高く、その後低下して、冬季にはわずかしか摂餌しない[8]。

月数でいえば、盛期は3か月、緩慢期は6か月で、緩慢期は盛期の2倍である。産卵期(2〜4月)の摂餌は、要旨の抜粋では述べられていない。

京都府の解説は、マコガレイの旬を初夏から産卵前の晩秋とする[1]。摂餌盛期(5〜7月)と重なるが、「よく食べるから旬になる」という因果は両方の資料に書かれていない。さらに、産卵期は海域で異なる(千葉県は12〜4月、愛媛県は1〜2月など)ので、木古内湾の区分を全国に当てはめることはできない。

季節に対し、一日の中のリズムはどうか。

6. 一日の うち、いつ 食べるの?

6. 一日のうち、食べる時間にも山がある

6. 日周リズム:春は日中に2回、秋は昼から夕方

青森県の むつわんで、まがれいと まこがれいが 食べる 時間も しらべられました。

春は、日の 出から 日の 入りまでの 間に、よく 食べる 時間が 2回 あったと 考えられて います。まがれいで、とくに はっきりして いました。秋は、昼ごろから 夕方に かけて、おもに 食べて いたようです[9]。

「朝と 夕方に 食べる」と 1つに まとめる ことは できません。春と 秋で ちがい、これは 青森県の 海の 話です。ほかの 海でも 同じとは いえません。

陸奥湾のマガレイとマコガレイを調べた1982年の論文(高橋豊美ら)は、春は日の出から日没までの間に摂餌のピークが2回あり、特にマガレイで顕著だったと報告しています。秋は、正午前後から夕方にかけて主に食べていたと推察されました[9]。

「朝と夕」と言い切らない

この要旨をもとに、「カレイは朝と夕方に食べる」と1つにまとめることはできません。ピークは春と秋で違い、1か所の湾での結果であり、「推察された」という書き方でもあるからです。季節が変われば、食べる時間も変わる、というくらいの読み方が、いちばん確かです。

ここまでで、口の形、水管をかじる食べ方、季節と時間帯が出そろいました。最後に、自分でも確かめられることを見てみましょう。

摂餌は一日の中でも一定ではない。高橋豊美らの1982年の論文(日本水産学会誌48巻9号)の要旨によれば、陸奥湾のマガレイとマコガレイでは、春季に日の出から日没までの間に2回の摂餌活動のピークが認められ、特にマガレイで顕著であった。秋季には、正午前後から夕刻にかけて主たる摂餌活動が行われていたと推察された[9]。

「日の出と日没」に食べるのではない点に注意したい。ピークは日中に2回で、秋はそれが昼から夕方に寄る。また、結果は陸奥湾の2種についてのもので、「推察された」という表現が示すとおり、調べ方の制約も含む。要旨の抜粋だけを読んだので、時刻の細かな数値は原典(J-STAGE)で確認する必要がある。

季節(第5章)と時刻(本章)を合わせると、カレイの摂餌は、一年と一日の二つの周期をもつと整理できる。ただし、それぞれ別の海域・別の種の研究であり、一つの海で両方を測った結果ではない。ここから一つの「カレイの食事時間表」を作ることは、資料の範囲を超える。

7. さかな売り場で、口を 見て みよう

7. 魚売り場で、カレイの口を見てみる

7. 口の大きさを確かめる/原典の読み方

スーパーや さかな屋さんで、まるごとの かれいが 売られて いたら、口を 見て みましょう。お店の 人に ひとこと ことわって から、見るだけに します。

口の 大きさを、自分の 指の 先と くらべて みます。小さくて ほそい 口でしょうか。

見ながら、すなの 中の ゴカイを すいこむ ようすや、すなから 出た すいかんの 先を かじる ようすを、思いうかべて みて ください。

スーパーや魚屋さんで、丸ごとのカレイが売られていたら、お店の人に一言ことわって、口を見てみます。口の大きさを、自分の指の先と比べてみてください。京都府の解説にある「小さく細い口」と、目の前の口は、同じ形をしているでしょうか。

口を見たら、砂の中のゴカイを吸い込む場面や、砂から出た水管の先をかじる場面を、想像してみます。想像と資料を行き来すると、同じカレイの口が、少し違って見えてきます。

もっと知りたくなったら

出典欄の京都府・千葉県・神奈川県のページは、短くて読みやすい解説です。自分が気になった魚を一つ選び、食べ物・時期・時間帯がそれぞれどう書かれているかを読み比べると、資料ごとに調べた場所や書き方がちがうことに気づけます。

確かめる方法として、丸ごとのカレイが売られていれば、店の人に断ったうえで口の大きさを指の先と比べる。出典[1]の「小さく細い口」と実物が合うかを見ることは、解説と観察を結びつける最初の一歩になる。

原典に当たる場合は、次の順が読みやすい。まず京都府・千葉県・神奈川県の解説で「何を食べるか」を確かめる。次に、水管摂食は東北大学の博士論文の書誌(冨山毅、2004年)と、Marine Ecology Progress Series 406巻の論文(Tomiyama ら、2010年)に当たる。季節と時刻のリズムは、北海道大学の学位論文(Shafiepour、1998年)と、日本水産学会誌48巻9号(1982年)である。

数字を並べて比べるときは、「どの種を、どの海域で、いつ調べたか」を、まず確かめる。本記事で扱った木古内湾(北海道南部)、名取川・仙台湾(宮城県)、陸奥湾(青森県)は、それぞれ別の海であり、結果を一つに重ねることはできない。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。研究の結論は、調べた種と海域に限られます。一部の資料([4][5][6][7][8][9][10])は要旨や概要で内容を確かめています。

  1. 京都府ホームページ「マコガレイ」(京都府立海洋センター) https://www.pref.kyoto.jp/kaiyo/makogarei.html (口の形・食べ物・旬)
  2. 千葉県 三番瀬データベース「マコガレイ」 https://www.pref.chiba.lg.jp/shizen/sanbanze/database/seibutsu/makogarei.html (成魚と仔魚の食べ物)
  3. 神奈川県 おさかな図鑑(マコガレイ) https://www.pref.kanagawa.jp/docs/mx7/cnt/f430693/zukan-makogarei.html (主な餌)
  4. 水産庁 資源評価(マガレイ日本海系群)/青森県産業技術センター水産総合研究所 https://www.jfa.maff.go.jp/j/suisin/s_kouiki/nihonkai/attach/pdf/index-372.pdf (マガレイの食性)
  5. 冨山毅 博士論文要旨(東北大学、2004年) https://tohoku.repo.nii.ac.jp/record/74876/files/A2H160689.pdf (水管をかじる非致死性摂食)
  6. KAKEN 科研費 研究課題「二枚貝の生産過程と河口域の流れ」 https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-08660219 (水管の回復と摂餌圧)
  7. Tomiyama et al. 2010, Marine Ecology Progress Series 406:185-196 https://int-res.com/abstracts/meps/v406/p185-196 (水管捕食の影響の大きさ)
  8. 北海道大学 学位論文(Shafiepour、1998年)要旨 https://www.lib.hokudai.ac.jp/gakui/1998/4873_shafiepour.pdf (摂餌の季節変化)
  9. 高橋豊美ら 1982 日本水産学会誌 48(9):1257-1264 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nissuishi1932/48/9/48_9_1257/_article/-char/ja (摂餌の日周リズム)
  10. コトバンク「イシガレイ」(日本大百科全書) https://kotobank.jp/word/%E3%81%84%E3%81%97%E3%81%8C%E3%82%8C%E3%81%84-3142945 (イシガレイの成長と食べ物)

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