1. めだかの ごはんは、水の 中に かくれて いるの?
1. 緑の水の中に、メダカのごはんはいるのか
1. 解説が挙げる食べ物:プランクトン・藻・ボウフラ・落ちた昆虫
メダカは、くさも むしも たべる、雑食の さかなです。ミジンコのような ちいさな いきもの、藻、ボウフラ、みずの うえに おちた ちいさな むしを、たべて いると せつめい されて います。
いけの 水が みどりいろに 見えるのは、「しょくぶつプランクトン」と よばれる ちいさな いきものが、いっぱい いるからです。ひとつぶは、0.05ミリ ほど。1ミリの 20ぶんの 1ですから、めに 見えにくい ほど ちいさいのです。
学校の りかの じゅぎょうでも、「いけの 水には、めに 見えない いきものが いる。いけの メダカは、それを たべて いる」と おそわります。ネットで 水を すくって しらべるのです。
野生のメダカの食べ物として、池田動物園は、ミジンコなどのプランクトン、ボウフラ、藻を挙げています[1]。環境省の解説は、植物プランクトンと動物プランクトンのほか、水面に落ちた小さな昆虫も食べる雑食性だと説明しています[4]。
プランクトンとは、水の中をただよう小さな生き物のことです。池の緑色は、その中でも植物プランクトンが増えたときの色で、1つぶは約0.05mmしかありません[5]。1mmの20分の1ですから、1つぶずつは肉眼では見えません。それでも水がはっきり色づくほど、たくさん集まっているのです。
小学校の理科でも、ビオトープのメダカが何を食べているのかを知るために、プランクトンネットで水をとって観察する授業が報告されています[7]。そこでは「池の水には目に見えない大きさの生き物がいて、池のメダカはプランクトンを食べている」ことが確かめられています。
では、メダカの口は、どんな大きさの食べ物まで入るのでしょうか。生まれたばかりの稚魚は、どうしているのでしょう。
メダカの食べ物は、まず解説資料の水準で整理できる。池田動物園は野生下の食べ物として、ミジンコなどのプランクトン、ボウフラ、藻を挙げる[1]。静岡大学理学部は「主に動物性プランクトン」を食べる雑食性の小型魚と述べ[2]、アクアマリンふくしまはプランクトンや藻類を食べる雑食の魚と説明する[3]。環境省の解説は、これに加えて水面に落下した小さな昆虫も食べるとしている[4]。
動物性か植物性かの強調が資料ごとに少しずつ違うのは、メダカが特定の1種類に頼らず、手近にあるものを広く食べる魚だからだと考えられるが、この点を直接述べた資料は見ていない。そこで、野外のメダカの消化管を実際に調べた研究に当たる必要が出てくる(第3章)。
その前に、食べ物の大きさを確かめておく。池の緑色の正体は植物プランクトンで、1個体は約0.05mmである[5]。1mmを0.05mmで割ると20なので、1mmの20分の1にあたる。肉眼では個々を見分けられないが、水が色づくほど高密度に集まる。小学校の理科でも、ビオトープのメダカの食べ物を知るために、プランクトンネットで水を集めて観察する授業が行われている[7]。
では、口の小さい稚魚は、この食べ物をどう利用しているのか。
2. あかちゃんの メダカは、なにを たべるの?
2. 生まれたばかりの稚魚は、口に入るものしか食べられない
2. 稚魚の制約:口に入る大きさが食べ物を決める
メダカの あかちゃんは、稚魚と いいます。からだが ちいさいので、くちも ちいさく、くちに はいる おおきさの ものしか たべられません。
とくに ちいさい 稚魚には、ワムシという 0.02ミリ ほどの いきものが えさに つかわれます。1ミリの 50ぶんの 1です。
すこし おおきく なった 稚魚には、みどりの 水の 中の しょくぶつプランクトンが、いい えさに なると いわれて います。水が みどりいろに なるのは、めだかを そだてる 人にとって、うれしい ことなのです。
3. おなかの 中を 見ると、なにが はいって いたの?
3. 胃の中をのぞくと、田んぼでも池でも何が多かったのか
3. 水田・ビオトープ・メダカ池の消化管内容物の比較
メダカの おなかの 中を しらべた けんきゅうが あります。たんぼ、ビオトープ(いきものの すむ ちいさな いけ)、メダカの いけの 3つで、メダカの おなかを 見くらべました。
どの ばしょでも、おなかの 中の ほとんどは、「デトリタス」と しょくぶつプランクトンでした。デトリタスとは、しょくぶつや いきものの ざんがいが、こまかく くだけた ものです。
たんぼでは、しょくぶつプランクトンが とくに たくさん ふえて いました。メダカの ごはんが、たっぷり ある ばしょなのです。
メダカの いけでは、おなかの 中身の 30パーセント ほどは、ちいさな むしの なかまや、ユスリカの 幼虫でした。ばしょに よって、ごはんの わりあいが かわるのです。
水田、ビオトープ、メダカ池のメダカの消化管の中身を比べた研究があります[6]。どの環境でも、中身の大半はデトリタスと植物プランクトンでした。デトリタスとは、生き物の死がいや落ち葉などが細かくくずれたもののことです。
環境によって、違いも見えました。水田では植物プランクトンの量が特に高く、栄養をふくむ成分も高い状態が続いていて、メダカの食べ物がたくさんある場所だと報告されています[6]。
一方、メダカ池では、消化管の中身の約30%を、小型の節足動物(ミジンコの仲間など)やユスリカの幼虫が占めていました[6]。つまり、同じメダカでも、住む場所に合わせて、食べるものの割合が変わるようです。
ただ、胃の中にあったものが、そのまま体の材料になるとは限りません。それを調べる方法も使われています。
野外のメダカの食性を直接調べるには、消化管の内容物を見るのが基本になる。農業農村工学会の報告は、水田・ビオトープ・メダカ池に生息するメダカを比べ、いずれの環境の個体も消化管内容物の大半がデトリタスと植物プランクトンだったと述べる[6]。デトリタスとは、生物の死骸や排出物などが細かく分解された有機物の粒である。
環境による違いも出た。水田では植物プランクトン量が特に高く、栄養塩類も高い状態が続くため、メダカの食物が大量に発生する環境だった[6]。逆に、メダカ池では消化管内容物の約30%が小型節足動物やユスリカ幼虫などで、動物性の餌の割合が目立った[6]。ただし、調べられた場所と個体は限られており、この割合が他の池や季節にもそのまま当てはまるとは言えない。
また、デトリタスがどのくらい栄養として利用されているのかは、資料に具体的な割合が示されていない。胃の中で量が多いことと、体の材料としての貢献が大きいことは別の問題である。この区別をつけるために使われたのが、安定同位体比の分析だった。
4. たべた ものと、からだに なる ものは おなじ?
4. 胃の中身と、体になる食べ物は同じなのか
4. 安定同位体比が示す「体になった餌」とのずれ
おなかの 中に おおく はいって いた ものが、そのまま からだに なるとは かぎりません。そこで けんきゅうしゃは、メダカの からだの なかみも しらべました。
すると、メダカは、ちいさな どうぶつプランクトンや、ちいさな むしの なかまを、からだを つくる もとに して いるらしい と わかりました。
おなかの 中では しょくぶつプランクトンや デトリタスが おおくても、からだを つくる 大切な ものとして、ちいさな どうぶつが やくに たって いるのかも しれません。くわしい ことは、まだ しらべられて いる ところです。
胃の中身は、「少し前に食べたもの」の記録です。一方、体の成分には、食べたものの化学的な特徴が、長い間かけて残ります。メダカの体の成分(安定同位体比)を調べると、動物プランクトンや小型節足動物を体の組織に取りこんでいると推定されました[6]。
静岡大学の解説が、メダカは「主に動物性プランクトンを食べる」と説明しているのも[2]、この結果とつながって見えます。胃の中ではデトリタスと植物プランクトンが多く、体を作る材料としては動物性のものが大切、という二重の姿が浮かびます。ただし、デトリタスがどのくらい栄養になるのか、資料には具体的な割合が書かれていません。
メダカはなぜ、手近なものを広く食べているのでしょう。そして、わたしたちは、どうすればその食べ物を確かめられるのでしょうか。
消化管内容物は、採集時点の直前の摂食を反映する。いっぽう、安定同位体比は組織に取りこまれた餌の特徴を反映する。前述の報告では、この分析から、メダカは動物プランクトンや小型節足動物を体組織に取りこんでいると推定された[6]。
これは、静岡大学の解説が「主に動物性プランクトン」と述べること[2]と矛盾せず、むしろ整合する。消化管ではデトリタスと植物プランクトンが大半を占めるが、体の材料として動物性の餌も寄与している可能性が高い、という二層の構図になる。ただし、これは「推定」であり、デトリタスや植物プランクトンの寄与がゼロだと示したものではない。
この構図から、「メダカは何を食べるか」には2つの答えがあることになる。胃の中を満たすもの(量)と、体になるもの(質)である。解説ごとの強調のずれは、どちらを見ているかの違いとして読める。ただし、この読み方は本記事の整理であり、資料自身が述べたものではない。
5. みぢかな 水で、ちいさな ごはんを さがして みよう
5. 身近な水で、メダカの小さな食べ物を探してみる
5. 小さな餌を自分で確かめる:観察の方法と限界
メダカの ごはんは、水の 中に います。ちいさすぎて 見えない ことも ありますが、すくって みると、なにかが うごいて います。
やってみよう:おとなと いっしょに、入って よい ばしょで、いけや たんぼの そばの 水を、バケツに くんで みましょう。ちゃこしに 水を ながして、のこった ものを ようきに うつして 見ます。うごく ものが いたら、それが ごはんの なかまかも しれません。見おわった 水と いきものは、とった ばしょに かえして おきます。
水の そばは、すべりやすいので、ひとりでは 行かないで ください。
国立科学博物館のサイトには、水の中の小さな生き物を観察する方法が紹介されています[8]。バケツでくんだ水を茶こしに流してろ過し、引っかかった生き物を容器に移して観察します。観察し終えた水と生き物は、採った場所に戻します。
やってみよう:おうちの人と一緒に、近くの池や田んぼ(立ち入りが許されている場所)の水をくんで、同じ方法で観察してみましょう。水辺は足元がすべりやすいので、必ずおとなと行きます。動いている小さな生き物がいたら、それは、メダカが食べているものの仲間かもしれません。
この記事で見た研究は、水田・ビオトープ・メダカ池という限られた場所の結果です。自分の近くの池では、どんなものが多いのか、見比べてみると、メダカの食事が少し身近になります。
野外で自分の目で確かめるには、国立科学博物館が紹介する方法が使える。バケツでくんだ水を茶こしに流してろ過し、残った生き物を容器に移して観察する。観察後の水と生き物は採った場所に戻す[8]。採集は、立ち入りが許される水辺で、保護者や指導者と行う。
この方法で見えるのは、水中にどんなプランクトンや小動物がいるかという「食べ物の候補」までである。その中のどれを実際にメダカが食べているかは、消化管内容物の分析や安定同位体比の測定のような、別の方法が要る[6]。自分の観察と研究の結果を、混ぜて語らないことが大切になる。
今回の資料では、メダカがプランクトンをどんな視覚の仕組みで見つけて捕まえているかは分からなかった。外来種のカダヤシとの競合が食性にどう影響するかも、資料に示されていない。これらは、さらに調べる余地のある問いとして残っている。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。
- 池田動物園「メダカ」. https://ikedazoo.jp/animal/fish/japanese-rice-fish/ (野生下の食べ物)
- 静岡大学理学部生物科学科「メダカ」. https://wwp.shizuoka.ac.jp/biological-science/organisms/ (雑食性・主に動物性プランクトン)
- アクアマリンふくしま「ミナミメダカ」. https://www.aquamarine.or.jp/animals/japanese-ricefish/ (プランクトンや藻類を食べる雑食)
- 環境省 ecojin いきものクイズ 第06回「外来種はどっち?」. https://www.env.go.jp/guide/info/ecojin/quiz/20210915.html (水面に落ちた昆虫も食べる)
- 東山動植物園「すごいパワー!! 緑の水「グリーンウォーター」」. https://www.higashiyama.city.nagoya.jp/blog/2017/07/post-3429.html (稚魚の餌とプランクトンの大きさ)
- 「生息環境の違いがメダカの成長・食性に与える影響」(農業農村工学会). https://soil.en.a.u-tokyo.ac.jp/jsidre/search/PDFs/08/08P11-34.pdf (消化管内容物・安定同位体比)
- お茶の水女子大学 理科実験支援事業 平成21年度 小学5年 プランクトン授業報告. https://www.cf.ocha.ac.jp/archive/sec/projects/newprogram/2009/h21-5plankton.html (授業でのプランクトン観察)
- 国立科学博物館「水の中の小さな生き物観察 -採集編-」. https://web.kahaku.go.jp/research/db/botany/microalgae/microalgal_kids/trivia/trivia_2_kansatsu.html (茶こしでの採集方法)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。