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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

サバンナで たおれた どうぶつを たべる いきものに、きまった じゅんばんは あるの?

サバンナの死骸を食べる動物たちに、決まった順番はあるのか

サバンナの死骸はだれがどの順で食べ尽くすのか:到着の順、時間帯、食べる部位の分かれ方

分野:生きもの

サバンナには、たべものの ほとんどが ほね、という とりが います。ヒゲワシです。ほねを たべるなんて、ふしぎですよね。

たおれた どうぶつの しがいは、ライオンや ハイエナ、ハゲワシ、むしなど、いろいろな いきものが たべて いきます。だれが いつ、どこを たべるのでしょう。この ページを よむと、じゅんばんは「ひとつの れつ」では ない わけと、ほねの ゆくえが わかります。

サバンナのハゲワシの仲間に、食べ物の多くが骨という鳥がいます。ヒゲワシです。骨を食べるのなら、ほかの動物が食べ残したあとに来るはずだと思うかもしれません。

では、サバンナで動物が倒れたとき、だれがどんな順に集まり、どこを食べていくのでしょうか。この記事を読むと、順番は一列に決まっているわけではないこと、ハゲワシ同士でも食べる時間や場所が分かれていること、骨が最後に土へもどる道すじが分かります。

ヒゲワシは、食べ物の多くを骨がしめるとされる珍しい猛禽である。ほかの動物が肉を食べ尽くしたあと、最後に骨を受け持つのだと考えたくなる。

だが、サバンナの死骸の利用は、一列の順番表では説明できないらしい。では、到着の順、時間帯、食べる部位は、どう分かれているのか。この記事を読むと、観察例と複数の研究から見える分業のしくみと、骨がふんを通して土にもどる経路、そして「順番」という言葉の限界が分かる。

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1. キリンが たおれた よるの あと、だれが どんな じゅんで やって きたの?

1. 夜に倒れたキリンのところへ、だれがどんな順で集まったのか

1. クルーガーのキリンの例:肉食獣から虫まで、死骸は何日かけて片づくのか

みなみアフリカの こうえんで、1995ねんに、キリンの しがいを みていた 人が います。ライオンが よるの うちに キリンを たおした ようです。そのさわぎを きいて、ハイエナや ジャッカルも あとから あつまりました。

つぎの 日に かけては、ハゲワシが にくの ほとんどを はぎとりました。さいごに ハエの こどもや むし(こうちゅう)が、ほねや かわ、けを かたづけて いきました。

つまり この ときは「ライオン、ハイエナと ジャッカル、ハゲワシ、むし」の じゅんでした。ただし、これは 1ぴきの キリンを みた 1つの れいです。どの しがいも おなじ じゅんばんとは かぎりません。

では、ほかの ばしょでは どうなのでしょう。

アメリカの観察者が、南アフリカのクルーガー国立公園で、1995年にキリンの死骸のようすを書き残しています[1]。ライオンが夜のうちにキリンをしとめたらしく、その騒ぎに引かれるように、ハイエナやジャッカルがあとから集まりました。

ライオンたちが離れたあと、翌日にかけてハゲワシが肉の大部分をはぎ取っていきます。最後に、ハエやウジ、甲虫が、骨や皮、毛を片づけていきました。大きな肉食獣、ハイエナとジャッカル、ハゲワシ、虫、という流れです。

これは書いた人が見た1頭の例で、推測をまじえた部分もあります。この順番を、どの死骸にもあてはまる決まりと考えるのは早すぎます。では、ほかの場所の研究では、集まる動物の順番はどう見えているのでしょうか。

南アフリカのクルーガー国立公園で、1995年にキリンの死骸を観察した記録がある[1]。ライオンが夜のうちに倒したと推測され、その騒ぎに誘われるようにハイエナとジャッカルが加わった。肉食獣が離れたのち、翌日にかけてハゲワシが肉の大部分をはぎ取り、そのあとにハエ、ウジ、甲虫が骨と皮と毛を処理した。大型肉食獣、ハイエナとジャッカル、ハゲワシ、昆虫という流れが、1頭のキリンで見えたことになる。

ただし、これは筆者自身の観察した一例であり、筆者も一部を推測として書いている。ライオンが夜に倒したという点も推測である。したがって、この流れを「死骸の標準的な順番」と読むことはできない。では、より多くの死骸を調べた研究では、集まる顔ぶれと到着の順は、何に左右されているのか。

2. どの しがいでも、おなじ じゅんばんに なるの?

2. 順番は一列ではない:大きさ、場所、見つけ方で変わる

2. 「到着順」は一定か:獲物の大きさ、ハイエナの食性、ハゲワシの移動先

タンザニアの セレンゲティと いう ところで、チーターが つかまえた えもの 639れいを しらべた けんきゅうが あります。おおきな えものほど、おおきさの ちがう ハゲワシたちや ジャッカル、ハイエナ、ライオンが きやすかった そうです。ハゲワシの なかでも、ちゅうくらいの おおきさの ものが、おおきい しゅるいや ちいさい しゅるいより さきに ついた ことが おおかったと いいます。

「ハイエナは、ハゲワシが おりるのを めじるしに、しがいを みつける」と いう はなしも あります。でも この けんきゅうでは、そうだと いう しょうこは みつかりませんでした。

ハイエナは、しがい あさりの せんもんでも ありません。セレンゲティの ブチハイエナは、たべものの やく 3わりが しがいでした。ケニアの べつの むれでは、しがいは やく 5パーセントだけで、ほとんどを じぶんで かりして えて いました。

ハゲワシは、えものの むれを おいかけるのでは なく、えものが しぬ ばしょへ いきます。ヌーの だいいどうの うちでも、ヌーが たくさん しぬ かんきの ころに、ハゲワシが あつまります。

タンザニアのセレンゲティで、チーターがしとめた獲物639例を調べた研究があります[2]。獲物が大きいほど、小型・中型・大型のハゲワシ、ジャッカル、ハイエナ、ライオンが来やすい傾向がありました。ハゲワシの中では、中くらいの大きさの種が、大きな種や小さな種より先に着きやすかったそうです。

「ハイエナは、ハゲワシが降りるのを目印に死骸を見つける」という話はよく聞きます。しかしこの研究では、その証拠は見つかりませんでした。ハイエナとハゲワシが同じ場所に居合わせることは多いのですが、それは目印にしているからとは限りません。ハイエナが先か、ハゲワシが先かは、研究によって見え方がちがいます。

ハイエナは「死肉あさり専門」というわけでもありません。セレンゲティのブチハイエナでは、食べ物の約33%が死肉だという観察があります。ケニアのマサイマラの別の群れでは、肉の約95%を自分の狩りで得ていました[3]。

ハゲワシ側の動きも調べられています。マサイマラで39羽にGPS発信機をつけた追跡では、ハゲワシは獲物の数が多い場所よりも、獲物が死ぬ場所のほうを選んで動いていました。ヌーの大移動に集まるのは主に乾季(7〜10月)で、ヌーが多く死ぬ時期です[4]。集まるのは「群れを追って」ではなく、「死ぬ場所に合わせて」なのです。

では、同じハゲワシの仲間が、1つの死骸に集まったとき、取り合いにならないのでしょうか。

到着の順番は、何に左右されるのか。セレンゲティでチーターの獲物639例を調べた研究によれば、獲物が大きいほど小型・中型・大型のハゲワシ、ジャッカル、ハイエナ、ライオンが訪れやすく、ハゲワシでは中型の種が、大型や小型の種より先に着く傾向があった[2]。ただし、この中型種が先という点は、要旨と抜粋で読んだ範囲の情報である。

同じ研究は、「ハイエナはハゲワシの降下を手がかりに食物を探す」という通説にも触れる。逸話的な報告は多いものの、639例の解析からは、その証拠は得られなかった。ハイエナとハゲワシが同席しやすいことと、一方が他方を目印にしていることは、別の話である。キリンの例ではハイエナが夜、ハゲワシが翌朝以降という見え方だったが[1]、この研究ではむしろ同時に居ることが多く、先後は一つに決まらない。

そもそもハイエナを「死肉専門」と見るのも正確ではない。セレンゲティのブチハイエナの食物に占める死肉の割合は、Kruukの観察で約33%だが、マサイマラの別の群れは肉の約95%を狩りで得ており、死肉は約5%にとどまる[3]。同じ種でも、場所と群れで割合が大きく変わる。

ハゲワシの側はどうか。マサイマラで39羽(リュッペルハゲワシ15、アフリカシロエリハゲワシ12、ミミヒダハゲワシ12)にGPS発信機をつけた追跡では、獲物の数よりも獲物の死亡が起きる場所が、利用する場所を説明する要因として重要らしいという結果が示された。ヌーの大移動に集まるのは主に乾季(7〜10月)で、ヌーが多く死ぬ時期にあたる[4]。「群れを追う」のではなく、「死亡が起きる場所を追う」のである。到着の順は、死骸の大きさ、場所、季節に左右され、一列の表にはまとまらない。それなら、同じ死骸に集まった近縁の鳥同士は、どう折り合っているのか。

3. ハゲワシの なかまどうしは、けんかに ならないの?

3. 同じハゲワシの仲間は、来る時間と食べる場所をずらしている

3. ハゲワシ同士の分業:到着の時間帯と、食べる部位の分かれ方

ケニアの マサイマラで、ヤギの しがいを おいて みる じっけんが ありました。かんきの あさは、アフリカシロエリハゲワシと リュッペルハゲワシが たくさん きました。ミミヒダハゲワシは、ごごに おおく きました。

ごごには、あさの 2しゅるいが おなかいっぱいに なって、ちらばりはじめます。その すきまに、ミミヒダハゲワシが 1わずつ ちかづいたと いいます。ただし ミミヒダハゲワシが たべられた りょうは、あさの 2しゅるいより すくなめでした。

セレンゲティの ハゲワシの けんきゅうでは、アフリカシロエリハゲワシなどの 2しゅるいが、しがいの やわらかい ところを とりやすいと されて います。たべる ところが わかれて いるから、あまり あらそわないと いうのです。

ミミヒダハゲワシは、アフリカの ハゲワシの なかでも ちからが つよく、ぶあつい かわや すじを ひきさける くちばしを もつと いわれます。むれの はしで まって、かたい ぶぶんを たべる ことも おおいそうです。でも、いつも さいごとは かぎりません。

マサイマラで、ヤギの死骸を置いて、ハゲワシが来る様子を調べた実験があります[5]。乾季の朝に多かったのは、アフリカシロエリハゲワシとリュッペルハゲワシです。ミミヒダハゲワシは、午後に多く来ました。

午後になると、朝の2種が満腹になって散りはじめます。ミミヒダハゲワシは、その入れかわりのすき間に1羽ずつ近づいていました。ただし、ミミヒダハゲワシが食べられた量(そのうの満腹の度合い)は、朝の2種より低めでした。「強い鳥が先に食べる」とも言えない場面です。

食べる部分もちがいます。1970年代初めのオックスフォード大学の学位論文の要旨では、セレンゲティには7種のハゲワシがいて、種ごとに生き方が分かれており、このうち2種は死骸のやわらかい部分を取る傾向があるとされています[6]。ミミヒダハゲワシは、アフリカのハゲワシの中でも力が強く攻撃的で、厚い皮やすじ肉を引き裂けるくちばしをもつといわれます。群れの端で待ち、ほかの鳥が食べたあとの皮やすじなど、硬い部分を食べることが多いそうです[7]。

時間と食べる場所を少しずつずらせば、同じ死骸を分け合いながら、取り合いの数を減らせます。では、肉も皮もなくなったあと、骨はどうなるのでしょうか。

近縁な鳥が同じ死骸に集まれば、食物をめぐって競合するはずである。それでも共存できるのは、時間と部位を分けているからだと考えられている。マサイマラでヤギの死骸を使った実験では、乾季の朝にはアフリカシロエリハゲワシとリュッペルハゲワシ(どちらもGyps属)が多く、ミミヒダハゲワシは午後に多く現れた。午後にはGyps属が満腹で散りはじめるため、そのすき間にミミヒダハゲワシが1羽ずつ近づいたと説明されている[5]。

ここで注意したいのは、ミミヒダハゲワシが「強者ゆえに先に食べる」わけではない点だ。実験では朝に多いのはGyps属で、ミミヒダハゲワシのそのう満腹率は、Gyps属より低かった。時間をずらした結果、食べられる量は少なめになったことになる。ただし、この実験はヤギの死骸を使ったもので、本物の大型獣では結果が異なる可能性も残る。

部位の分担もある。セレンゲティには7種のハゲワシが出現し、種ごとに生態が分かれているとされ、2種のGyps属はどちらも死骸のやわらかい部分を取る傾向がある。この要旨は、オックスフォード大学のHoustonの学位論文(1972年ごろ)のものである[6]。一方ミミヒダハゲワシ(Torgos tracheliotus)は、アフリカのハゲワシ類で最も力が強く攻撃的とされ、大型哺乳類の厚い皮やすじ肉を引き裂くくちばしをもつ。群れの端で待ち、他の鳥が食べたあとの皮や腱などの硬い部分を食べることが多いという[7]。

しかしこの記述は、実験の「午後型」と合わせて読むと、「最後に来る」わけではなく「硬い部分を受け持つ傾向がある」くらいの強さで受け取るのが妥当だ。では、肉も皮もなくなったあとに残る骨は、だれが食べるのか。

4. のこった ほねは、だれが どうやって たべるの?

4. 最後に残った骨を引き受けるのは、ハイエナと、骨を食べる鳥

4. 骨という最後の資源:ハイエナのあごと、ヒゲワシの胃と落とし技

ブチハイエナは、ほねを かみくだく ちからが とても つよい どうぶつです。やせいで、ふとい キリンの ほねを わるのが みられた そうです。

ハイエナの はは、ほねを くだいても、にくを きる はが いたみにくい ならびに なって います。

ヒゲワシは、くちの したに ひげのような はねが ある ハゲワシの なかまです。たべものの おおくが ほねだと されて います。ほねの カルシウムを、いの なかの さんで とかすと かんがえられて います。

のみこめない おおきな ほねは、たかい ところから いわの うえに おとして わると いいます。ヒゲワシは おもに やまの おおい ちいきの とりなので、サバンナの しがいに いつも くるとは かぎりません。

ブチハイエナのあごは、骨をかみ砕く力がきわめて強いことで知られます。野外では、太いキリンの骨を割る様子が観察されています。小臼歯は円すい形で、肉を切るための歯(裂肉歯)が、骨を砕いても傷みにくい位置にあります[8]。

鳥にも、骨を専門にする仲間がいます。ヒゲワシは、食べ物の多くが骨だとされています。胃に酸を出す細胞が多く、骨のカルシウムを酸で溶かすことが主なしくみだと考えられています。飼育下の2羽にヒツジのろっ骨を与えた実験では、食べ物の大半が24時間以内に消化されました。「骨が数時間で溶ける」わけではありません。骨の髄は脂肪が多く、筋肉に近いエネルギー源になりうるといいます[9]。

飲みこめないほど大きな骨は、高いところから岩の上に落として割るそうです[10]。ただしヒゲワシは主に山岳地帯の鳥なので、サバンナの死骸にいつも来るわけではありません。

骨を砕く動物と、骨を溶かす鳥。その先に、まだ話が残っています。砕かれた骨は、どこへ行くのでしょうか。

肉も皮もなくなったあとの骨は、カルシウムとリンを多く含むうえ、髄に脂肪もある。これを利用する動物が、サバンナにはいる。

ブチハイエナは、骨を砕く力が非常に強く、野外では太いキリンの骨を割る様子が観察されている。小臼歯が円すい形で、骨を砕いても肉を切る歯(裂肉歯)が傷みにくい位置にある[8]。

鳥でもヒゲワシは、骨を専門とする。食物の多くを骨がしめるとされる。胃に酸を出す細胞が多く、骨のカルシウムを酸で溶かすことが主なしくみだと、実験で示唆された。飼育下の2羽にヒツジのろっ骨を与えた実験では、食物の大半が24時間以内に消化された。「骨が数時間で溶ける」という俗説は当たらない。髄に脂肪が多いため、骨は筋肉に近いエネルギー源になりうるという[9]。しかも飲みこめない大きな骨は、高いところから岩の上に落として割る[10]。

ただしヒゲワシは主に山岳地帯の鳥で、東アフリカにも分布するものの、セレンゲティの死骸の「標準の参加者」とは書けない。サバンナの骨の利用は、ハイエナが中心にいるらしい。では、砕かれた骨は、そのあと生態系の中でどうなるのか。

5. くだかれた ほねは、そのあと どこへ もどるの?

5. 砕かれた骨は、ふんを通して土にもどる

5. 骨の栄養のゆくえ:ハイエナのふんに含まれるカルシウムとリン

みなみアフリカの けんきゅうで、ハイエナの ふんを しらべた ものが あります。ふんには、まわりの つちの やく 1000ばいから 2万ばいの、カルシウムと リンが ふくまれて いました。しろい いろで みわけられます。

くだかれた ちいさな ほねの かけらは、とりも つかうそうです。ほねの えいようは、ハイエナを とおって、つちや いきものの ほうへ もどる やくめが あると かんがえられて います。

ただし、しらべた ばしょは カラハリ(ブラウンハイエナ)と、クルーガーの ちかく(ブチハイエナ)です。サバンナ ぜんたいの すうじでは ありません。

南アフリカで行われた研究では、ハイエナのふんに、まわりの土の約1,000〜20,000倍のカルシウムとリンが含まれていました。白い色をしているので見分けられるそうです。砕かれた小さな骨のかけらは、鳥にも利用されます[11]。

骨のカルシウムとリンが、ハイエナの体を通ってふんになり、土や、それを使う生きものにもどる。骨を栄養として土や生態系にもどす役目を、ハイエナがもつと考えられています。

この数字は、調べた場所のふんと土の比べ方です。調べたのはカラハリのブラウンハイエナと、クルーガーの近くのブチハイエナで、サバンナ全体の栄養の量ではありません。こうして、倒れた動物の体は、肉食獣、ハゲワシ、ハイエナ、虫と受けわたされ、最後に土の栄養として残ります。

砕かれた骨は、その後どこへ行くのか。南アフリカのAbrahamらの研究(African Journal of Ecology)では、ハイエナのふんにまわりの土の約1,000〜20,000倍のカルシウムとリンが含まれ、白い色で見分けられた。砕かれた小さな骨のかけらは鳥にも使われる。骨の栄養を土や生態系にもどす役目が示唆されている[11]。

この倍率は、ふんと周囲の土の濃度の比であり、サバンナ全体の物質循環の大きさではない。調べた場所もカラハリ(ブラウンハイエナ)とクルーガー近郊(ブチハイエナ)に限られるため、他の地域や他の種に広げて言うことはできない。

死骸の「順番」は、肉食獣、ハゲワシ、骨を砕く者、虫と、顔ぶれを並べればひとつの流れに見える。しかし実際は、見つけやすさ、体の大きさ、くちばしや歯の形、時間帯が重なって、食べる部分と時間が分かれた結果である。残った骨さえ、ふんを通して土の栄養に変わる。

6. もっと しりたく なったら、どうやって しらべるの?

6. 動物園や公園で、くちばしと食べ方を見比べてみよう

6. 原典に当たるときの手がかりと、「順番」を疑うためのヒント

どうぶつえんに、ハゲワシや ハイエナが いたら、くちばしや はを 見て みましょう。ハゲワシの くちばしは、にくを ひきさくのに ちょうど いい かたち。ハイエナの はは、ほねを くだくのに むいた かたちです。

まどの そばや こうえんで、とりが たべものを とりあって いる ところを 見たら、さわがず、とおくから 見るだけに して みましょう。たべものを やっては いけません。おおきい とり、ちいさい とり、すぐ にげる とり。きた じゅんばんは、いつも おなじでしょうか。

サバンナの はなしが ほかの ところでも あてはまるとは かぎりません。それでも、「だれが さきか」より「だれが どこを たべるか」と いう 見かたは、きっと おもしろく なります。

動物園にハゲワシやハイエナがいたら、くちばしと歯の形を見てみましょう。肉を引き裂くのに向いた形か、骨をかみ砕くのに向いた形か、想像しながら見ると、「だれがどこを食べるか」の分かれ方が頭に入りやすくなります。

身近な場所でもできる観察があります。公園やベランダで、鳥が同じ場所に来る様子を、遠くから見てみましょう。食べ物を置いたり、あげたりしてはいけません。落ちているものに来る鳥の種類、来る時間、食べる場所に、ちがいはあるでしょうか。サバンナと同じ決まりが当てはまるとは限りませんが、「順番」より「分け方」に目を向けるヒントになります。

もっと調べたいときは、ハゲワシの時間の使い分けを調べたKendallらの研究(The Auk、2014年)や、ハイエナのふんの研究(African Journal of Ecology)を探してみてください。ミミヒダハゲワシは、午後に来るだけの鳥ではないのか、ハイエナはいつ死骸にたどり着くのか。この記事で言い切れなかったところに、まだ調べる余地があります。

原典に当たるなら、次の3つが入り口になる。Hunter, Durant & Caro (2007), African Journal of Ecology(639例の獲物と到着の順)、Kendall (2014), The Auk 131(1):12-19(ヤギの死骸を使ったハゲワシの時間分業)、Kendall et al. (2014), PLOS ONE(GPS追跡。「獲物の数より死ぬ場所」)である。ヒゲワシの骨の消化は、Houston & Copsey (1994), Journal of Raptor Research 28(2):73-78にある。

読むときの疑問も用意できる。その研究は何頭・何羽・何例を調べたか。場所は、サバンナのどこか。結果は、観察か、実験か、推定か。この記事も、ヒゲワシやミミヒダハゲワシの部分で、元の論文ではなく要旨や解説、百科事典の記述に頼っている。そこから先は、原典で数字と条件を確かめられる。

残る問いもある。ハイエナとハゲワシのどちらが先に着くかは、観察例によって見え方が異なる。死骸の「順番」は、一列にそろった順位表ではなく、見つけた順、強さ、好み、時間帯が重なった結果だと考えるほうが、観察に近い。動物園でくちばしと歯を見比べると、分業の背景に触れられる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

サバンナの死骸の利用に関する観察記事、論文の要旨、解説記事をもとに書きました。リンクは各資料の入り口です。

  1. Audubon "Death of a Giraffe" https://audubon.org/news/death-giraffe (クルーガー国立公園のキリンの例)
  2. Hunter, Durant & Caro (2007) African Journal of Ecology(要旨) https://library.wcs.org/en-us/doi/ctl/view/mid/33065/pubid/PUB12090.aspx (チーターの獲物639例と、到着の傾向)
  3. National Geographic "Looking nature in the mouth" https://www.nationalgeographic.com/science/article/looking-nature-in-the-mouth (ブチハイエナの死肉の割合)
  4. Science News "African vultures follow dead, not herd" https://www.sciencenews.org/blog/wild-things/african-vultures-follow-dead-not-herd (GPS追跡の結果)
  5. Audubon "Advice for a hungry vulture: arrive early and bring friends" https://audubon.org/news/advice-hungry-vulture-arrive-early-and-bring-friends (Kendall 2014 The Auk の解説。ハゲワシの時間帯)
  6. Houston, Oxford DPhil thesis(要旨) https://ora.ox.ac.uk/objects/uuid:9aaea992-9734-475d-9afe-6869247159a1 (セレンゲティのハゲワシの種ごとの分かれ方)
  7. Wikipedia "Lappet-faced vulture" https://en.wikipedia.org/wiki/Lappet-faced_vulture (ミミヒダハゲワシのくちばしと食べる部位。百科事典の記述)
  8. Wikipedia "Spotted hyena" https://en.wikipedia.org/wiki/Spotted_hyena (あごと歯のつくり。百科事典の記述)
  9. Houston & Copsey (1994) Journal of Raptor Research 28(2):73-78 https://digitalcommons.usf.edu/jrr/vol28/iss2/1 (ヒゲワシの骨の消化)
  10. Wikipedia "Bearded vulture" https://en.wikipedia.org/wiki/Bearded_vulture (骨を落として割る行動。百科事典の記述)
  11. Inside Science (AIP) "Hyenas' Bone Crunching Helps Recycle Nutrients" https://www.aip.org/inside-science/hyenas-bone-crunching-helps-recycle-nutrients (ハイエナのふんのカルシウムとリン)

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