このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ししゃもは なにを たべて おおきく なるの?

シシャモは海で何を食べて育つのでしょうか ── 生まれたばかりの子と、冬の子のちがい

シシャモは育つにつれて何を食べるのか ── 仔魚のプランクトンから成魚のゴカイ類まで、カラフトシシャモとの食べものの比較

分野:生きもの

おみせで うっている ししゃもの おおくは、じつは ほんものの ししゃもでは ない、と いわれます。では、ほんものの ししゃもは、うみで なにを たべて いるのでしょう。

うまれたばかりの ころと、おおきく なった ころでは、たべものが ちがう ようです。どう かわるのか、よめば わかります。

お店で売られているししゃもの多くは、実は北海道にすむ本物のシシャモではなく、カラフトシシャモという別の魚だといわれます。では、本物のシシャモは海で何を食べているのでしょうか。

生まれたばかりの子は小さなプランクトンを食べ、冬ごろから大人と同じ、ゴカイの仲間などを食べるようになるといわれます。育つにつれて食べものが変わる様子と、カラフトシシャモとのちがいが分かります。

市場に多く出回るのは、北海道太平洋岸の固有種であるシシャモ(Spirinchus lanceolatus)ではなく、カラフトシシャモ(カペリン)だといわれる。では、本物のシシャモは何を食べて育つのか。

結論を先に言えば、ふ化直後の仔魚はプランクトン、体長約10cmに達する冬ごろからは成魚と同じゴカイ類などへと、成長段階で餌が移る[2]。この記事では、図鑑・漁協・事典の記述を重ねてシシャモの餌を整理し、カペリンの研究と比べる。同じ胃の中身でも、個数で数えるか炭素量で比べるかで、目立つ生きものが入れかわる点にも触れる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. ししゃもの なかまは、なにを たべるの?

1. 本物のシシャモは、何を食べる魚なのか

1. 本物のシシャモの主食は動物プランクトンとされる

ししゃもの ほんものは、北海道の 太平洋がわに すんで います。日本にしか いない 魚だと いわれます[4]。

この 魚の いちばんの ごはんは、動物プランクトンです。ずかんには、そう 書いて あります[1]。

動物プランクトンは、水に ういて ながされる、ちいさな 動物の ことです。目に 見えないほど 小さい ものも います。

でも、これは おおきく なった ししゃもの はなしです。うまれた ばかりの ころは、どうなので しょう。

本物のシシャモは、北海道の太平洋岸にすむ日本固有の魚です[4]。店先に並ぶ「ししゃも」の多くがカラフトシシャモなのに対し、こちらは数が限られます。

図鑑には、この魚は動物プランクトンを主食とすると書かれています[1]。食材辞典には、動物プランクトンやゴカイ類を捕食するという説明もあります[3]。

動物プランクトンとは、水の中をただよう、泳ぐ力の弱い小さな動物のことです。ここまでは大人のシシャモの話です。では、ふ化したばかりの、体のとても小さな子は何を食べるのでしょうか。

シシャモは北海道太平洋岸に分布する日本固有種で、海で育って川へ遡上する魚だ[4]。流通する「ししゃも」の多くが別種のカラフトシシャモであるため、本物の食性は意外に知られていない。

図鑑はシシャモを動物プランクトン食とし[1]、食材辞典は動物プランクトンとゴカイ類を捕食すると書く[3]。動物プランクトンとは、遊泳力が弱く水流に乗って漂う小型の動物をまとめた呼び方で、特定の種の名前ではない。

これらは一般向けの解説なので、以下は「といわれる」の強さで読むのがよい。では、同じ魚でも成長段階によって餌は同じなのか。

2. うまれた ばかりの 子は、なにを たべるの?

2. 川で生まれた子は、海でプランクトンを食べて育つ

2. 仔魚は降海し、浅い海でプランクトンを食べて育つ

ししゃもの 子は、川で うまれます。うまれると すぐ、海へ くだって いきます[4]。

海に 出た 子は、水の ふかさ 20メートルほどの 海で、小さな プランクトンを たべて そだつと いわれます[2]。

この ころは、動物プランクトンだけでなく、植物の プランクトンも たべるようです。

それから 1年 はんほど、海で くらします[4]。ずっと プランクトンの ままでは、ないのです。

シシャモは川でふ化すると、ほとんどすぐに海へ下ります。その後、約1年半を海で過ごし、成魚になると再び川へ上ってきます[4]。

海へ出たばかりの子は、水深20m前後の沿岸で、植物プランクトンや動物プランクトンを食べて育つといわれます[2]。

体が小さいうちは、口に入るものも小さなものに限られます。大人と同じ餌を食べるには、体が育つ必要があります。

実際、冬になるころには食べるものが変わってくるといわれます。何が、どう変わるのでしょうか。

シシャモの仔魚は川でふ化した直後に降海し、約1年半の海洋生活を経て成魚となり、再び遡上する[4]。成長の大半は、海での餌に支えられていることになる。

釧路市漁業協同組合の解説によれば、降海した仔魚は水深20m付近の沿岸域で、植物プランクトンと動物プランクトンを食べて育つ[2]。口が小さい仔魚にとって、餌は口に入る大きさで選ばれる面が強いと考えられるが、これは推測である。

では、仔魚期の次の段階で、餌はどう移るのか。

3. ふゆに なると、ごはんが かわるの?

3. シシャモは冬ごろ、成魚と同じ餌を食べるようになる

3. シシャモは体長約10cmの冬、餌が成魚と同じゴカイ類などに移る

12月ごろ、ししゃもは 体の 長さが 10センチメートルくらいに なります[2]。

この ころに なると、たべものが かわります。おとなの ししゃもと おなじ、ゴカイの なかまなどを たべるように なる、と いわれます[2]。

ゴカイは、海の そこの すなに もぐって いる、ミミズに にた いきものです。

ういている プランクトンから、海の そこの ほうの いきものへ。すむ ところも、たべものも、少しずつ かわって いく ようです。

ただし、なにを どれだけ たべて いるのかは、まだ くわしく わかって いません。

12月ごろ、体長が約10cmになると、餌は大人と同じゴカイや、塩虫の仲間などになるといわれます[2]。食材辞典にも、動物プランクトンやゴカイ類を捕食するという説明があります[3]。

ゴカイは、海底の砂や泥の中にいる、細長い体の生きものです。仔魚のころは水中をただようプランクトンを食べ、冬ごろには海底の生きものも食べるようになる、という流れです。

「塩虫」が何の仲間かは資料に説明がないので、ここでは断定しません。餌の割合も示されていません。

では、店でよく見るカラフトシシャモは、何を食べているのでしょうか。

漁協の解説によれば、12月ごろ体長約10cmに達した個体は、餌が成魚と同じゴカイ類や「塩虫」の仲間などに移る[2]。成魚の食性は、図鑑が動物プランクトン[1]、食材辞典が動物プランクトンとゴカイ類[3]としており、方向は矛盾しない。

この移行は、プランクトン食から、底生性の多毛類(ゴカイ類)を含む食性へという変化として読める。体が育って口が大きくなり、遊泳力がつくことで、底の生きものにも届くようになった可能性があるが、これは推測にとどまる。

「塩虫」がどの分類群を指すかは出典に説明がなく、段階ごとの餌の割合も示されていない。では、同じ名前で呼ばれるカラフトシシャモとは、食べものも同じなのか。

4. カラフトししゃもは、なにを たべるの?

4. 店に多いカラフトシシャモは何を食べるのか

4. カラフトシシャモ(カペリン)の餌は甲殻類・多毛類・小魚

おみせで よく 見る カラフトししゃもは、ほんものと ちがう しゅるいの 魚です。

この 魚は、ういている エビや カニの なかまの 小さな いきもの、ゴカイの なかま、そして 小さな 魚を たべると、ウィキペディアに 書いて あります[5]。

はるから なつに かけては、えさを さがして、海の 中を 長い きょりを およぐ そうです[5]。

ほんものと にて いる ところも あれば、ちがう ところも ありそうです。

ウィキペディアでは、カラフトシシャモ(カペリン)は成魚になると浮遊性の甲殻類や多毛類、小魚を食べると説明されています[5]。甲殻類はエビやカニの仲間、多毛類はゴカイの仲間です。

同じ項には、春から夏にかけて餌を求めて広い範囲を回遊するとも書かれています[5]。

本物のシシャモと見比べると、ゴカイの仲間を食べる点は同じです。一方で、カペリンの資料には小魚が挙がっていますが、シシャモの資料にはそれが見当たりません。

ただし、これは資料に書かれた範囲の比較で、胃の中身を調べた結果どうしの比較ではありません。

ウィキペディアのカラフトシシャモの項は、成体の餌を浮遊性甲殻類・多毛類・小魚とし、春から夏にかけて餌を求めて回遊すると説明する[5]。

シシャモの資料と見比べると、多毛類(ゴカイ類)を食べる点は共通する[3][5]。ただしカペリンの記述には小魚があり、シシャモ側の資料には挙がっていない。なお、これらの記述はウィキペディア(二次資料)による。

この差は、種ごとの本当のちがいかもしれないし、シシャモの食性が詳しく調べられていないせいかもしれない。資料の書き方の差と、実際の食性の差は分けて考えるべきだ。では、カペリンの餌は、季節や場所でどのくらい変わるのか。

5. たべものは、きせつで かわるの?

5. カペリンの餌は、季節と場所で大きく変わる

5. グリーンランドの研究が示す、餌の季節変化と数え方の問題

グリーンランドの 海で、カラフトししゃもの たべものを しらべた 研究が あります[6]。

5月には、オキアミと いう、小さな エビに にた いきものが、たべものの 大部分を しめて いました。8月には、べつの プランクトンが いちばん たいせつに なって いました[6]。

おなじ 魚でも、きせつや 場所で、たべものが かわる ことが あるのです。

ただし、これは グリーンランドの はなしです。北海道の ほんものの ししゃもに、そのまま あてはめる ことは できません。

グリーンランドのフィヨルドで、カペリンの胃の中身を調べた研究があります[6]。

5月は、数で見るとカイアシ類(小さな甲殻類)の子ども、ノープリウスが多く食べられていました。ところが炭素の量、つまり体を作る材料の量で見ると、オキアミ類が92%を超えていました。8月は、カラヌス目のカイアシ類が最も重要でした[6]。

数では小さな餌が目立ち、炭素の量では大きな餌が中心になる。数え方によって「何を食べているか」の答えが変わることが分かります。

ただしこれはグリーンランドのカペリンの結果で、北海道のシシャモに当てはめることはできません。

Grønkjær らの研究(Polar Biology, 2019)は、氷河の融解水の影響を受けるグリーンランドのフィヨルドで、カペリンの餌を調べた[6]。5月は、個体数ではカイアシ類のノープリウス(幼生)が多く、炭素量ではオキアミ類が全地点で92%を超えた。8月はカラヌス目カイアシ類が最も重要だった[6]。

注目すべきは、同じ胃の中身でも「個数」と「炭素量」で主役が入れかわる点だ。小さな幼生は数が多くても、1個体あたりの炭素量は小さい。逆にオキアミは数が少なくても炭素量では大半を占めうる。食性の記述は、何で数えたかで読み方が変わる。

この結果は寒冷なフィヨルドのカペリンのもので、北海道太平洋岸のシシャモには当てはめられない。

6. ししゃもを 見たら、なにを して みよう?

6. 店の「ししゃも」の名前を、そっと見てみる

6. 店頭の表示と、資料の読みどころ

おうちの 人と スーパーに いったら、「ししゃも」と 書いて ある パックを さがして みましょう。

パックに 書いて ある 魚の 名前や、とれた 場所を 見て みます。「ししゃも」と ならんで、ほかの 名前が 書いて あるかも しれません。

書き方は しょうひんに よって ちがうかも しれません。見つけたら、どんな 名前や 場所が 書いて あるか、ノートに うつして みましょう。

スーパーや魚屋さんで「ししゃも」と書かれたパックを見かけたら、パックの魚の名前や産地の表示を見てみましょう。

「シシャモ」と書かれたものと、「カラフトシシャモ」やカペリンと書かれたものがあるかもしれません。書き方は商品によって変わるので、見つけた表示をそのまま覚えておくと、本や資料を読むとき役に立ちます。

図鑑[1]や漁協の解説[2]を読むと、ふ化から冬までに食べものが変わる様子が、もう少し詳しく書かれています。

店頭では、パックの表示(魚名・産地)を見ると、シシャモかカラフトシシャモかを考える手がかりになる。表示の書き方は商品や販売者によって異なるため、見つけた表示を書き留めて比べてみるとよい。

資料を読むなら、成長段階ごとの餌は釧路市漁業協同組合の解説[2]、成魚の食性は図鑑[1]と事典[3]、カペリンの季節変化はグリーンランドの研究[6]が出発点になる。

シシャモ本種の天然での餌の内訳は、公的機関の資料にまとまった形では見当たらない。胃の中身を調べた論文があるかを探すことが、次の入口になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:図鑑、漁協の解説、事典、ウィキペディア、大学の研究紹介を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。一般向けの解説が中心なので、本文では「といわれる」の強さで書いた。

  1. WEB魚図鑑「シシャモ」。https://zukan.com/fish/internal1476 (シシャモの主食について)
  2. 釧路市漁業協同組合「シシャモの一生」。https://www.gyokyou.or.jp/sisyamo/sisyamo06/ (仔魚と冬ごろの餌について)
  3. 八面六臂 食材辞典「シシャモ」。https://hachimenroppi.com/wiki/details/shisyamo/ (成魚の食性について。二次資料)
  4. ウィキペディア「シシャモ」。https://ja.wikipedia.org/wiki/シシャモ (分布と生活史について。二次資料)
  5. ウィキペディア「カラフトシシャモ」。https://ja.wikipedia.org/wiki/カラフトシシャモ (カペリンの餌と回遊について。二次資料)
  6. オーフス大学 北極研究センターによる Grønkjær ほか(2019, Polar Biology)の紹介。https://arctic.au.dk/news-and-events/news/show/artikel/feeding-ecology-of-capelin-mallotus-villosus-in-a-fjord-impacted-by-glacial-meltwater-godthaabsfjo (カペリンの餌の季節変化について。英語の資料)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。