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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

げんごろうの こどもは、えものを どうやって たべて いるの?

ゲンゴロウは何を食べ、どうやって食べているのか

ゲンゴロウは何を食べ、どう食べるのか ── 幼虫の体外消化と成虫の食性

分野:生きもの

げんごろうの 幼虫ようちゅうは、つかまえた えものを かんで のみこみません。えものの からだの なかに、とかす しるを そそいで、げんごろうの からだの 外で とかして、とけた しるを すうと いわれて います[2]。

どうして そんな たべかたを するのでしょう。そして、おとなに なると どうなるのでしょう。この きじを よむと、こどもと おとなの たべかたの ちがいと、なにを たべるのかが わかります。

ゲンゴロウの幼虫は、捕まえた獲物をかみくだいて飲みこむのではありません。獲物の体に消化液を注ぎ、溶けた汁を吸う「体外消化」をするといわれます[2]。

では、その口はどんなしくみなのでしょうか。大人になっても同じ食べ方なのでしょうか。幼虫と成虫の食べ方のちがいと、何を食べているのかが分かります。

ゲンゴロウ類の幼虫は、獲物を噛み砕いて呑みこむのではなく、体内に消化液を送りこんで溶かし、液体にしてから吸う「体外消化」をするという[2]。同じ昆虫が、成虫になると食べ方を変えるらしい。

その口の構造はどうなっているのか。成虫は何を、どう食べるのか。幼虫と成虫の食べ方の違い、獲物の種類、そして資料によって説明が分かれる点が分かる。

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1. こどもは、えものを とかして のむの?

1. 幼虫は、獲物を溶かして飲む

1. 噛まずに溶かす ── 幼虫の「体外消化」

いけで およぐ げんごろうの こどもは、幼虫ようちゅうと よばれます。からだは ほそ長く、くちには かまのような かたちの 大あごが あります[1]。

この 大あごで えものに くいつきます。そのあと、消化しょうかする しるを えものの なかに そそぎ、とかして すいこみます[2]。げんごろうの からだの 外で とかして から のむので、「たいがい消化しょうか」と いいます。

つまり、かたい ものを かみくだく のでは ありません。しるに して のむのです。

では、大あごの どこから しるを そそぎ、どこから すうのでしょう。

池や水たまりにすむゲンゴロウの幼虫は、細長い体に、鎌のような形の大あごをもっています[1]。獲物に食いつくと、その大あごから獲物の体内に消化液を送りこみ、ゲンゴロウ自身の体の外で溶かして、溶けた部分を吸収します[1]。

琉球新報が紹介した琉球大学博物館の解説では、獲物の体内に消化液を送りこんで体を溶かし、そこから吸いこむ食べ方を「体外消化」と呼んでいます[2]。口の外で、先に消化を進めてしまうのです。

ここが、題名の問いの答えの中心です。幼虫は、獲物を「かんで食べる」のではなく、「溶かして飲む」食べ方をします。次は、その道具となる大あごの中をのぞいてみましょう。

ゲンゴロウ類の幼虫の食べ方は、一般的な「噛んで呑む」とは異なる。世界大百科事典の記述では、大あごは鎌状で、獲物に食いついて消化液を出し、吸収する[1]。琉球新報が伝える琉球大学博物館の解説は、この様式を、獲物の体内へ消化液を送って溶かしたうえで吸いこむ「体外消化」と呼んでいる[2]。

問いの答えを先に書けば、幼虫は固形物をちぎって食べるのではなく、口の外で消化を進めた液体を摂る。消化の最初の段階を体の外に出していることになる。

では、大あごの溝は、液体をどう運ぶのか。構造を見る。

2. 大あごは、ちゅうしゃきと ストローを かねて いるの?

2. 大あごの内側の溝は、注射器とストローを兼ねるのか

2. 大あごの内側の細い管 ── 液体だけを取りこむ構造

アメリカの 大学の しりょうに よると、多くの 幼虫ようちゅうの 大あごの うちがわには、さきの ほうから つけねまで 細い 溝みぞが のびて います[3]。管くだの ような かたちです。

ここを とおして、えものの 体から とけた しるが 口に はこばれると されます。幼虫ようちゅうは、えきたい だけを つかって たべると いわれます[3]。

ちゅうしゃきの はりと、ストローを いっしょに した ような ものです。ただし 本当は、注射ちゅうしゃきでは ありません。大あごに ある 細い みぞが、そう 見えるだけです。

この しりょうが 書くのは 「多くの しゅるい」の はなしで、ぜんぶの げんごろうでは ありません。

さて、おとなに なった げんごろうは、どうでしょう。

アメリカのカリフォルニア大学リバーサイド校の資料によると、多くのゲンゴロウ類の幼虫は、大あごの内側に、先の近くから付け根まで続く細い溝(管のような通り道)をもっています[3]。幼虫は液体の食べ物だけを使い、獲物のやわらかい組織を消化液でかなり液状にして、この溝から取りこむと説明されています[3]。

注射器の針とストローに似た働きをする、と考えると分かりやすいかもしれません。大あごが獲物をつかまえ、消化液を送り、できた汁を口へ運ぶ。「固形物は食べない」というのは、この構造と合っています。

ただし、この記述は「多くの種」の話で、すべてのゲンゴロウに当てはまるとは書けません。

幼虫がこんな食べ方なら、羽のはえた大人は、同じ食べ方なのでしょうか。

カリフォルニア大学リバーサイド校の昆虫学のウェブ資料は、ゲンゴロウ科の幼虫の多くについて、大あごの内側縁に、先端付近から基部まで伸びる細い溝(管)があること、幼虫は液体の食物しか利用しないことを述べる[3]。獲物の軟らかい組織は、消化液でかなり液状にされてから取りこまれるという。

この構造が先の「体外消化」と整合する理由は単純で、固形物を口に入れる機構を持たず、液体だけを運ぶ通路があれば足りるからである。大あごは、獲物をつかまえ、消化液を送り、液体を取りこむ働きをすることになる。

限界も押さえておく。この資料の記述は「多くの種」についてであり、全種に当てはまるとは書かれていない。また、消化液の成分や、溶ける速さといった、体外消化の中身までは、ここで引いた資料からは分からない。

では、幼虫のあとの段階、つまり成虫の食べ方はどうか。次の章で、幼虫との違いを見る。

3. おとなの げんごろうは、おなじ たべかたなの?

3. 成虫は、かみちぎって少しずつ飲みこむ

3. 成虫の食べ方 ── 幼虫とは異なる、咀嚼する摂食

おとなの 成虫せいちゅうは、ちがいます。えものを かみちぎって、すこしずつ のみこむと されます[3]。

こどもの ときは しるを すい、おとなに なると かんで たべる。おなじ 虫なのに、たべかたが かわるのです。

おとなの げんごろうは、しんだ 動物や、よわった さかな、オタマジャクシも たべると されます[4]。

では、こどもも おとなも、ふだんは なにを つかまえて いるのでしょう。

同じ資料は、成虫について「獲物をかみちぎって、少しずつ飲みこむ」と書いています[3]。幼虫のように体外で溶かして吸うわけではありません。

水の中で暮らすことは同じでも、幼虫と成虫では口の使い方が変わる、ということです。

成虫が何を食べるかは、資料で少し書き方がちがいます。シマゲンゴロウについてのホンダの生きもの図鑑では、成虫は動物の死体や弱った魚、オタマジャクシを食べ、前脚でつかまえられれば、元気なボウフラやアカムシも食べるとされています[4]。死んだものも、生きたものも食べるわけです。

ただし、これは体の小さなシマゲンゴロウの記述です。大きなナミゲンゴロウにそのまま当てはめることはできません。

成虫の摂食様式は、幼虫とは異なる。カリフォルニア大学リバーサイド校の資料は、成虫は獲物の断片をかみ取り、少しずつ飲みこむと述べる[3]。つまり、体外消化で液体にする幼虫と、咀嚼して取りこむ成虫とで、同じ水生の肉食でも口の使い方が分かれている。

では、成虫は何を食べるのか。ここで資料の書き方に幅が出る。シマゲンゴロウに関するホンダの生きもの図鑑は、成虫は動物の死体や弱った魚類、オタマジャクシを食べ、前脚で捕えられれば元気なボウフラやアカムシも食べると記す[4]。死骸食(腐肉食)と生きた獲物の捕食の、両方が書かれている。

注意点が2つある。第1に、この記述は体長12〜14mmの小型種についてのもので、体長34〜42mmのナミゲンゴロウ[6]にそのまま当てはまるとは限らない。第2に、成虫の主食を「死肉が中心」と見るか「生きた小動物が中心」と見るかは、種や資料によって説明が分かれる。ここでは、どちらも食べうる、という範囲にとどめる。

この「何を食べるか」を、幼虫・成虫の両方について整理してみる。

4. げんごろうは、ふだん なにを つかまえるの?

4. ゲンゴロウは水の中の何を食べるのか

4. 獲物の幅 ── 水生昆虫を中心に、ときに魚やオタマジャクシ

げんごろうの なかまは、こどもも おとなも、にくを たべます。水の中の ヤゴや オタマジャクシ、小魚などを つかまえます[1]。

ほかの 水の 虫を たべる ことが、とくに 多いと されます[3]。ときどき、オタマジャクシや 小さな さかなも たべます。おとなは うごきが はやいので、えらべる えものが ひろい といいます[3]。

小さな しゅるいの ハイイロゲンゴロウは、ボウフラを たくさん たべる ことが、さいきんの けんきゅうで わかりました[5]。

水の中の 小さな いきものを たべて いる、にくしょくの 虫なのですね。

世界大百科事典には、ゲンゴロウの仲間は成虫も幼虫も肉食で、水中のヤゴ、オタマジャクシ、小魚などの小動物を捕食する、とあります[1]。

アメリカの資料も、成虫と幼虫は主に他の水生昆虫(カゲロウ、カメムシの仲間、トンボなどの幼生)を食べ、ときにオタマジャクシや若い魚も食べるとまとめています[3]。成虫は動きが速いぶん、選べる獲物の幅が広いとされます。

体の小さなハイイロゲンゴロウ(体長9.8〜16.5mm)では、最近の研究で、ボウフラを多数捕食することが確かめられたそうです[5]。この種の幼虫の食べ物は、成虫と同様に小動物と推察されている段階です。

こうして見ると、ゲンゴロウは水の中で、ヤゴやオタマジャクシなどを食べる側にいる生きものだと分かります。

獲物については、複数の資料が重なる。世界大百科事典は、成虫・幼虫とも肉食性で、水中のヤゴ、オタマジャクシ、小魚を捕食すると記す[1]。カリフォルニア大学リバーサイド校の資料は、科全体として、多くの種が他の水生昆虫(カゲロウ目・カメムシ目・トンボ目の幼生期)を主に食べ、ときにオタマジャクシや稚魚も食べるとする。成虫は移動が速いため、選べる獲物の幅が広いという[3]。

種ごとの具体例として、ハイイロゲンゴロウ(体長9.8〜16.5mm)は、生きた小昆虫を捕えて食べ、近年の研究でボウフラの多数捕食が確認されている[5]。ただし幼虫の食性は「成虫と同様に小動物を捕食していると推察される」という書き方であり、断定されていない。

幼虫の体外消化と、成虫の咀嚼。獲物は水生昆虫が中心で、種や成長段階によって死骸や魚類・オタマジャクシも加わる。これが、ここまでの資料から言える範囲である。体長の違い(シマゲンゴロウ12〜14mm、ナミゲンゴロウ34〜42mm)から、大きいナミゲンゴロウで約2.5〜3.5倍の差があるので、食べられる獲物の大きさも異なりうるが、これは資料に書かれた因果ではなく、読み手の推測にとどまる。

5. みずべで みつけたら、どうすれば いいの?

5. ゲンゴロウの暮らしから、水辺を見てみる

5. 池の食物連鎖と、読み比べの一歩

げんごろうは、いけや たんぼの 水の 中で、ヤゴや オタマジャクシを たべる 虫です。

水べで 見つけたら、まず 見るだけに しましょう。大人と いっしょに、ようすを 見て みてください。つかまえて つれて かえる ことは、きまりで できない ところも あります。

としょかんや はくぶつかんの 図かんで、「げんごろう」の 大あごの かたちを さがして みませんか。

水辺でゲンゴロウに出会うことがあれば、まず見るだけにして、大人と一緒に様子を観察しましょう。採集には決まりがある場所もあるので、持ち帰ることは考えず、水の中でどんな動きをするかを眺めてみます。

ヤゴやオタマジャクシを食べる側の虫がすめる水辺は、そうした生きものも暮らしていける場所だ、と考えることもできます。

図書館や博物館の図鑑で、ゲンゴロウの幼虫の大あごが鎌のように曲がっている姿を探してみると、今回の「溶かして飲む」食べ方との結びつきが見えてくるでしょう。

京都府の資料によると、ナミゲンゴロウの幼虫は水中で他の小動物を捕食し、成熟すると浅瀬から陸に上がり、土中で蛹になる[6]。つまり、水中の獲物の存在と、陸の土の両方が、生活の条件に入っている。

読み比べの一歩としては、幼虫の体外消化と大あごの構造を述べる資料[2][3]と、成虫の食性が「死骸を食べる」とも「生きた小動物を捕らえる」とも書かれる図鑑[4][5]を、同じ種について探してみるのがよい。種ごとの食性を直接書いた公的資料は、まだ少ない。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:事典・新聞・大学の資料・企業の図鑑・京都府の資料を使い、何に使ったかは項目ごとに書いた。英語の資料は出典欄にとどめている。

  1. 世界大百科事典「ゲンゴロウ」(コトバンク)。https://kotobank.jp/word/ゲンゴロウ-47850 (成虫・幼虫とも肉食であること、大あごの形について)
  2. 琉球新報 沖縄の水生昆虫の記事(琉球大学博物館の解説の紹介)。https://ryukyushimpo.jp/region/entry-4426561.html (幼虫の体外消化について)
  3. UC Riverside Entomology: Dytiscidae (Legner)。https://faculty.ucr.edu/~legneref/identify/dytiscid.htm (幼虫の大あごの溝、成虫の食べ方、獲物の種類。英語の資料)
  4. Honda 生きもの図鑑 シマゲンゴロウ。https://www.honda.co.jp/outdoor/adventure/shimagengorou.html (シマゲンゴロウの成虫と幼虫の食べ物。小型種の記述)
  5. Honda 生きもの図鑑 ハイイロゲンゴロウ。https://www.honda.co.jp/outdoor/adventure/haiirogengorou.html (ボウフラの捕食と体長について)
  6. 京都府レッドデータブック2015 ナミゲンゴロウ。https://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/db/ins0044.html (体長と幼虫の暮らしについて)

なおした ところ

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